ワオ!2013妙誕記念アンケート! | ナノ


▽ 土+妙+山がグレゴリアス三世でバイト中です


「ジュースいかがですかー!」
「美味しいジュースですよー!」
「グレゴリアス三世をよろしくお願いしまーす!」
「グレゴリアス三世・・・やっぱ可笑しいって!」

山崎が持っていたチラシの束をバンバンと振る。

「やっぱりジュース屋の名前じゃないよね。全然ジュース連想しないし。お客さんもピンときてないみたいだし」
「うーん、人の名前みたいよね」

銀色のお盆に小さなコップを並べた妙が笑った。

「ちょっとローマ人っぽいかな」
「地中海とか攻めてるっぽいね」
「マントしてるっぽい」
「赤のね、赤」
「おい、二人とも仕事してんのか」

店舗で試食用のジュースを作っていた土方が顔を出す。手にはジュースの乗ったお盆とチラシの束だ。

「土方さーん、まだ捌けてないのに追加はなしですよ」
「こっちもまだまだよ。土方くんの作るジュースは美味しいんだけどね、名前がどうかなって山崎くんと話してたの」
「仕方ねえだろ。これがノルマなんだとよ」

ドン、ドン、と置かれた物を見て、山崎と妙は顔を見合わせた。

三人は新規オープンしたフルーツジュース屋のバイト仲間だ。オープン記念でクーポン付きのチラシとジュースを店舗の外で配っており、客寄せと宣伝をしている。

「そういや志村さんって学校どこ?同級生だよね」

試食用のジュースを口にしながら山崎が訊ねる。今は人通りが途切れているのでこんな勝手もできた。

「俺と土方さんは、あー言ったっけ?真選組って呼ばれてる男子高」
「ううん、初めて聞いた。私は恒道女学館よ」
「え?恒道館なんだ!?うわあ、学校の奴らに自慢しよ。恒道館の子とバイト同じって」
「そんなことが自慢になるの?」

妙がにこにこと笑う。ジュース屋のロゴが入った赤いキャップ姿なのに可愛いなあと、山崎は素直に感心していた。男子高だから女に飢えてるというだけではなく、妙は可愛いと思う。

「俺ら男子高だから女の子との接触なんて皆無だからね。彼女もいないし」
「山崎くんも?」
「いないよー」
「山崎くんって話しやすいし優しいからモテそうなのね」
「まさか!だってこの色男フェロモン振りまいてる土方さんだって彼女いないからね!俺なんてそんなそんな」
「おい。人を害虫みたいに言うんじゃねえよ」
「え、土方くん、彼女いないんだ」

妙が驚きの声を上げる。

「いねえよ」
「ごめんね、意外だったからビックリしちゃって」
「女いるように見えるのか?」
「カッコいいから、いるのが当たり前だと思ってた」

妙の言葉を受け、土方がぎゅうっと眉をひそめた。山崎には分かる。あれは照れているのだ。そしてそれが妙にも伝わっていて、妙は照れたような笑みを浮かべる。

(おおっと)

山崎にとって非常に興味深い事態が訪れようとしていた。だが────

「ねえ、ちょっと飲ませてもらえる?」
「すいませーん、チラシ下さい」

いつの間にか人通りが増えていた。色とりどりのジュースに惹かれたのか、足を止めるお客さんも増えつつある。三人は瞬時に仕事モードへと戻った。

「はい!お好きな果物はごさいますか?これ、オススメですよー」
「チラシにはクーポンがついてますので良かったら使って下さい!」
「ジュースなら中でも飲めますよ。ああ、案内します」

女性客を二人連れて店舗へと戻る土方を見て、山崎と妙は顔を見合わせて小さく笑う。

「あれが色男フェロモン?」
「そうそう。相変わらず撒き散らしてるなあ」
「すごい効き目ね」
「本人無自覚だけどね」

二人はまた笑って、気持ちも新たにお互いの仕事へと戻った。

「美味しいジュースはいかがですかー!」
「いらっしゃいませー!今ならクーポン付きのチラシを配ってまーす!」
「グレゴリアス三世のジュースはいかがですかー!」
「いらっしゃいませー!グレゴリアス三世でーす!」



土+妙+山(バイト仲間)
この三人で恋愛要素があまりない・・というのを考えてたらバイト仲間が浮かびました。仲良しだけど少し距離がある感じっていいなあと。
で、何のバイトかなと考えて浮かんだのが外で何かを配ってる姿。なら妙ちゃんは何を配ってるのか、ジュースでしょ。フルーツジュースでしょ。
山崎はチラシ。似合う。
土方くんは調理担当で、たまに外に補充に。
制服は何故か赤いキャップがすぐに浮かんで、後はあやふや(笑)
お店の名前も頭に浮かんだのがグレゴリアス三世でした。グレはグレープのグレです。

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