ワオ!2013妙誕記念アンケート! | ナノ


▽ 沖妙←幼馴染み銀、土だけど片思いしてる側がなぜか勝ち誇ってる話


三人いれば良かった。小さな頃から三人で、それが当たり前だった。みんな同じで、みんな好き。
だが、成長するにつれて違いが生まれてくる。背の高さも顔つきも今までと同じではない。なによりはっきりと違うのは、二人は男で一人は女だったということだ。似ているとしたら、男が二人とも幼なじみの女に恋愛感情を抱いたことかもしれない。

「銀時くん、ちょっと待ってね」
「なんだよ勝負下着でも選んでんの?残念なおっぱいなんだからノーブラでいいんじゃね、誰も気付かねえだろ」
「やっぱり銀時くんは先に行っててもいいよ」
「俺はお前を待ってんじゃなくて星占い見てんだよ。あー俺12位、最悪」

テーブルに頬杖をついた銀時が半開きの目でテレビに愚痴る。

「なんだ、また喧嘩してんのか」
「違うよトシくん、銀時くんが意地悪なだけ」
「まな板にまな板って言っただけですー」
「お前も懲りねえな」
「トッシーも正直に羨ましいって言えばいいのに。損な役回りだな」
「ああ?何が羨ましいって?」
「言っていいのかよ。今、ここで?」

薄く笑いながら牽制をしあう。互いがライバルであるというのは自然と理解していた。だがこの関係を壊したくないと思っているのもお互い様で、妙に想いを告げることもできずに幼馴染みをやっているのだ。
何となくこのまま時間が経って何となく大人になったら。そのときは幼馴染みから一歩踏み出そうと二人は思っていた。

それがまさか、こんな形で決着がつくとは。



「彼氏ができたの」

頬を緩ませた妙が二人に告げた。大切な話があると言われ、多少期待をしながら待っていたらこの有り様。

「彼氏?」

たっぷりとった間の後で、銀時が訊ねる。

「うん」
「そいつ人間?」
「え?」
「当たり前だろうが。妙、気にすんな。この馬鹿、動揺してるだけだから」

と言う土方が飲むグラスには何も入ってない。

「つーか誰よ」
「・・・沖田くん」
「オキタ?知らねえ、トッシー知ってる?」
「いや。聞いたことある気はするが・・・」
「先週転校してきたばかりだからね」
「・・・あー、はいはい沖田ってあれか、沖田そー・・・」
「沖田総悟くん」
「それそれ」

銀時が同意を求めるように土方へと顔を向ける。

「クラスの女が騒いでたヤツだよ。カッコイイとかなんとかさ」
「アイツのことか」

思い当たった人物に土方が眉をひそめた。

「アイツなら転校してきて一週間くらいだろ?それで付き合うって早くねえか」

心配したのはそれだ。恋愛に疎い妙にしては進展が早すぎる。

「うーん、そうなんだけど。私クラス委員だから沖田くんと行動することが多くて。場所教えたりとか。そうやってるうちに仲良くなって、いいなあって思ってたら告白されちゃって。それが嬉しくて、嬉しいってことは好きだってことだから・・・お願いしますって言ったの」

はにかみながら話す妙はほんのりと頬を染めている。

「初めての彼氏だから、銀時くんとトシくんには報告したかったの」

妙にとって二人は特別だ。恋愛感情ではないだけで、大好きなことには代わりない。

「そっか。良かったな」

控えめに微笑んだ土方は妙の頭を撫でる。

「まあ、頑張れよ」

肩を竦めた銀時は妙の額を軽く指で弾く。

「ありがとう」

これが二人の応援の仕方だ。ずっと変わらない。妙は満開の笑顔を溢れさせながら、二人にぎゅうっと抱きついた。




「いい加減諦めてくれやせんかね」

今一番会いたくない男が目の前に居る。

「諦めるってなんですかー?トッシー分かる?」
「さあな。言いがかりすぎて失笑するレベル」

男──沖田が苛立ちまぎれに舌打ちをした。

「アンタらが妙の周りをちょろちょろして目障りなんでさァ」
「目障りってなあ、俺ら幼馴染みだし、家隣だし、目に入んの仕方なくね」
「妙の方から寄って来るしな。まあ昔から仲良いから当たり前だけど」
「なあ?仲良しなんだよ。俺らは昔から」

昔から、という言葉に沖田は反応してしまう。妙と付き合うように分かったことがあった。彼女には、大切に想う存在がいるのだと。

「沖田くんさあ、妙が毎日一緒に寝てるぬいぐるみの名前知ってる?」

勝ち誇った顔で銀時が沖田を見やる。

「知ってるか?妙が好きな卵焼きの味付け」

同じように土方も沖田を見つめた。
恋愛という意味でなら正直負けたとは思う。だがそれ以外では全く負けてる気はしない。むしろ勝ってる。それを沖田も感じているから、こんなにも苛立っているのだ。

「というわけで俺らは一生妙と幼馴染みでーす」
「それは変えられねえから諦めろ。じゃあな」

言いたいだけ言った二人は満足気に背を向けた。

「そうですねィ、てめえらが諦められるように一生目の前でイチャついてやりまさァ」

今、妙の彼氏なのは沖田なのだ。妙を好きな気持ちでは絶対負けない。

「幼馴染みなんかに負けねえですぜ」

共有した時間の長さが何だ。長さは関係ない。これから二人で繋げていけばいいのだから。



沖田×妙←幼馴染み銀、土
この構図だと沖田くんが可哀想な感じになるのはなぜだろう(笑)多分、銀土コンビが強すぎるんだよ。幼馴染みという強みもある。

こちらもネタをいただいたパターン2の方です!銀土コンビを書くのが楽しかったです(*´∇`*)

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