斎藤 長編 | ナノ


a.m.8:20

後5分で遅刻なんていう状況で

薄桜学園の校門には
風紀委員が3人待機していた

「今日もまだあいつらの姿を1回も見かけてないということはまた遅刻か」

ため息まじりに口を開いたのは薄桜学園2年剣道部斎藤一

「あの二人はそろそろ痛い目に遭わないと分からないわけ?まぁ今日は千鶴を巻き込んでないみたいだしまだ許してあげるけど」

怪しい笑みを浮かべ(目は笑っていない)つつ口を開くのは薄桜学園1年南雲薫


『あ、はは..あ、でもあと5分だし今日はもしかしたら間に合うんじゃないかな?』
薄桜学園2年剣道部マネージャーのわたしみょうじなまえは
薄桜学園名物と化しつつある遅刻魔二人にフォローを入れてみたが薫に嘲笑らわれる結果に終わった

「お前、馬鹿なの?あの二人が後五分で間に合った試しがない」

『おう..かおるきゅん今日もいっつそーくーる..』

そうつぶやくと薫から殺気が感じられたのですぐに黙る、私はまだ死にたくない!


そう、今年度になり3ヶ月が経つが残り五分という状況であの二人が間に合った試しがない。

一人は前日にゲームをしていただのと言った理由で寝坊して間に合わないのだが、もう1人の方は完全に悪意しかない。風紀委員への嫌がらせだ。


「大体、沖田は最早悪意しか感じられないよね....あ。」

そうぽつりと薫の声がやんだ原因を見渡すと
二つの見覚えがある影

「あと一分。」

「恐らく遅刻、だな....」

『あ、平助こけた。』

身長の低い方の影がこけたのを
笑う声と共に高い方が颯爽とこちらに駆け寄ってきた

どんまい平助。

「おはよ、三人とも」

「残念だけど三秒遅刻だよ。減点3」
「総司、あんたは学習能力というものがないのか。毎朝五分早く起きればいいだけの話だろう」

そういう一君の小言をうっとおしそうに振り切る鬼畜..じゃなかった薄桜学園二年沖田総司。

「おはよなまえちゃん。」
『おはよう総司!見事に平助を見放したね!』

「こける方が悪いんだよ。それに僕まで遅刻したら平助と二人で怒られるでしょ?僕そんなこと絶対嫌だよ」

結局遅刻したし関係ないのでは?なんてツッコミをいれそうになる気持ちをぐっと抑えて私は苦笑を零した。

そうしなきゃ総司に何をされるかわかったものではない。



薫は涼しい顔して今着いたのであろう汗だくの平助の遅刻処理をしている。

はじめくんと言えば総司が聞いていないにも関わらずはじめくんの必殺技のお説教だ。

「あーもう分かったよ!なまえちゃんからもこの堅物になんかいってやってよ!もう聞き飽きたって!」

「聞き飽きたのなら同じことを何度も言わせるな!」

ぷりぷりと怒るはじめくんを他所に総司は私の傍に来て特に気にした様子もなく携帯をいじる、うんいつもの光景。


「大体風紀委員も大変だよねぇ、こんな堅物と顧問があの土方さんじゃ面倒くさそう僕なら絶対に無理」

『そうなんだよねぇ、アレがまた頭が固くってさ……』

ヤレヤレと肩を落とす総司の隣で私も同じように肩を竦めてみる。
この時に後ろの人気に気づかなかった私は正真正銘の馬鹿なんだと思う。

「ほぉ……頭が固いめんどくさそうな顧問で悪かったなぁ?みょうじ」

『なっ……ひ、土方……せんせ……』


「お前ら二人共職員室に来い!!!!!!!」



風紀委員も大変です。


(春の暖かい日差しの中それはそれは大きく響きました。)
next



- ナノ -