沖田長編 | ナノ


  その男、悪魔。


人間って本当に単純で馬鹿な生き物だと思う

比較的顔がいい僕は昔から女の子だけには不自由してなかったし
笑顔でいたら大概の男子にもウケがいい

こういうの、“器用“って言うらしいけど
僕から言わせてもらえばみんなが不器用すぎるんだよ

みんなみんな、つまらない

それが誰にも打ち明ける予定のない僕の本心。


その男、悪魔。


「総司、あんたの遅刻癖はいつになれば治るんだ」
「あははっ、ごめんごめんはじめくん 」
「減点3,と言ったところだな・・・早く教室へいけ」

疲れたようにため息をつくはじめくんとにこにこと笑って見せる僕。
これもいつもの光景
はじめくんって、真面目だから騙されやすくて天然だけど僕はそこが面白いと思ってよく一緒にいるんだよね
はじめくんはどう思ってるか知らないけどさ

教室に入るとクラスメイトがいつもより騒がしそうにしていた

「あ、総司おはよ!」
「沖田、聞いたか?今日転校生来るんだってよ!!」

「へぇ、女の子?」
「なんでわかったんだ?!」
うるさい男子が目を丸くして驚いてるけど
それだけ男子が騒いでれば丸分かりだよ、本当馬鹿だよね

「そんでな、そいつがぶさいく説と美人説に別れてるんだよ!!」
僕が一発で女の子、と当てたことは彼にとってはどうでもいいらしくて
転校生は美人か、ぶすかなんて賭け始めちゃってるし
本当に単純でつまらないよ

「おまえら、席につけー」
あ、土方さん
僕、土方さん嫌いなんだよねなんか受けつけない。

「転校生が来てる・・・みょうじ、入れ」
土方さんが扉の方に声をかけると
ガラ、と音を立てて入ってきたのは髪の長い女の子。

どうやら、賭けの方は美人に投票した人が勝ったみたいだね

『みょうじなまえです。宜しくお願いします』

にこっと笑顔を浮かべるみょうじさんとやらは

なんだか僕と同じような気がしたんだ。



To be continue...


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