その二人、繋がる。
結局、人間は誰かを羨み、誰かを求めて
だれかを失う
そんな生き物なんだ
その二人、繋がる。「なまえちゃん、おはよ」
『おはよう総司くん。 』
学校内にニュースがひとつ舞い降りた。
あの遊び人が捨てた女とよりを戻したらしい。
言い回しは違えども同じ内容とも取れる内容のニュースに当の本人は興味がなさそうだったけれど、周りの女子たちは気に入らないみたいで私は本性を隠さないで良くなったらしい。
「なまえちゃん何読んでるの?」
『見てわからない?総司くん』
「ねぇ、なまえちゃん。今日冷たいね?」
『・・そんなこと、ない』
「あ、なまえちゃん目そらしたでしょ?」
ああ!もううるさい!
乱暴に本を閉じて立ちあがればどこにいくの?なんてついて来ようとするし
睨めばいつもの笑みで返してくる。
『猫みたい・・・』
「誰が?」
『総司くん、動きにくいからどいて』
放課後までも屋上について来て後ろから抱きついてくるものだから邪魔で仕方ない
「嫌だ。」
『・・・子供。』
「だってなまえちゃんから、返事聞いてないよ」
相変わらず後ろから抱きついてる総司くんが私の肩に顔をうずめるから猫毛が首筋に当たってくすぐったくて仕方が無い。
『・・・答え、か。』
「決まらない?」
『私は、』
総司くんが、好きだよ。
その一言がいえなくて、言い出すこともできなくて、言葉に詰まってしまう。
「私は?」
『・・・総司くん、部活は?』
「休んだ」
『そう言ってサボったんでしょ?ほら、早く行きなよ』
「ねぇ、なまえちゃん?」
『なぁに、総司くん』
「向き合ってよ」
僕から逃げないで。
そういった総司くんの声は心無しか震えていて、どこか不安そうだった。
『・・・すき、なんて言葉今までよくわからなくて、みんなが言うすきってわからなかったの。』
「うん、」
『でもね、総司くんといたら楽しかったんだ。これが、好きってことなのかなって、ちょっと思っちゃったんだ』
そう言う間にも総司くんは微動だにしないで私の肩に顔をうずめていた。
『だからね、私は、総司くんのこと』
初めて誰かに伝えたそのことばは思った以上に恥ずかしくて震えていて、そして、少しだけ切なかったんだ。
「ねぇおかしいと思わない?」
『何が?』
「少し前まで二人とも、こんなこというなんて思ってなかったのに」
『確かにそうかもね、』
「なまえちゃん、大好きだよ」
『私も、だいすき』
そう伝えると総司くんは満足そうに目を細めて二人の影が繋がった。
世の中にはいろんな愛の形があるなんて言うけれど
それならばこんな愛の形だってあっていいはずだ。
少なくとも、わたしと総司くんはそう感じたんだもの。
繋がった影は少しの間離れずに屋上の地面に映っていた
FIN.
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