その男、恋心。
子供がサンタクロースなんていう幻想に縋るのは
無償の愛が欲しいから。
それだけのために、彼らは存在している。
そう考えると滑稽で仕方が無い。
その男、恋心。「総司〜!メール送ったの見たぁ?」
「あぁ、ごめんね。充電きれたんだよね。」
「えぇ〜!嘘だぁ、この間も同じ理由でメールの返信来なかったぁ」
嗚呼、鬱陶しい。
僕の腕にしつこく絡んでくる腕も甘ったるい声も匂いも目に映る派手な色とか最早制服に見えないほど着崩した制服とか
すべてが僕を苛立たせる。
なまえちゃんならこんなことしないのに。
そんなことを考えため息を付けばまたしつこく群がる肉食達。
「ねぇ、動けないんだけど?」
「・・・なんか総司、みょうじさんと別れてからノリ悪くなぁい?」
「それ思ったー!みょうじさんのこと本気だったわけ?」
「黙りなよ」
あぁ、この子たちでもこんな目するんだ
怯えた目、きらわれたくないって目
「ごめんね、総司ぃ・・・」
「物分りのいい子は好きだよ。」
そう言ってわらってみせれば、ほら単純。
まるで犬みたい
つまらない
面倒くさい女の子から逃れて屋上へむかえば既に先客がいるみたいで物音がした。
「・・・はぁ、なんで此処にいるわけ?」
そう呟いた声に気づくはずもなく
久々に見た彼女は静かに目を閉じていた
「ねぇ、なまえちゃん、起きてる?」
そう声をかけてもぴくり、とも動く気配がなくて
「ねぇ、なまえちゃん、好きだよ」
ちいさく呟いたその声は
本人に届くはずもなく静かに消えていった。
「・・ごめんね、」
君を守れない僕を許してね。
この気持ちが人を好きになることなんだね。
To be continue .
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