女に振られることなんて、体験したことすらない。

こんな事を言えばまた僻みに遭うのだが
実際に体験したことなんてねぇからしかたねぇ。

大概の女は俺にその気がなくとも寄って群れてきやがる
面倒くせぇ

だから正直薄桜学園が共学になるっていうのは俺を悩ます種となりかけなかった

幸いなことに女子入学者は二名

見るからに、気が弱そうな雪村と
みょうじなまえ。

「みょうじ、これ頼めるか?」
『あ、はい・・・なるべく早く済ませます。』
真面目な質らしく頼んだ仕事は大概その日のうちにできる。
風紀委員でもあり斎藤も、助かっている、とこのあいだこぼしていた。

『・・・土方先生?顔色良くないですね』
ちら、と覗き込む黒目がちな瞳は狙ってか、無意識か俺の目を逸らせなくする何かがあるらしい

「いや・・・なんでもねぇよ」
そう、多分俺は、この女に惚れている。
望みが少ない恋、ってやつだ。

『そうですか・・・ならいいのですが・・・』
「みょうじ、お前・・・好きな奴でもいんのか」

早まる心拍数を抑えるために煙草を取り出すとみょうじの眉間に皺がよる。

『いませんよ、そんな人。』
「・・総司とか、斎藤とかいるじゃねぇか」
『お二人ともイケメン過ぎて私に振り向くことすらないと思いますけど』
くすくす、と目を伏せながら笑うあたり本当に恋愛感情としてみていないらしい。

「・・・俺なんかどうだ?」
『・・・・・・は?』
ぽかん、とした口のまま固まるみょうじに少しだけ笑みを零しながら煙草の煙を吐き出した。

「俺だって男なんだがよ」
『先生、冗談がきついです。』
「お前な・・・俺に、なんの不服があるってんだ?」
『・・・無い、ですけどまさか・・本気ですか?』
「本気に決まってんだろ」

そう告げるとみるみると真っ赤に染まる顔。

「んで、どうなんだよ?」
『は?!どうもこうも・・・』
口元を手で隠しながらも真っ赤な顔で俯いたみょうじは小さな声で

わたしも、すき。

とだけつぶやくのが聞こえた。

「・・・そっちこそ本気か? 」
『じ、冗談でこんなこといいません!』

そう言って目を逸らすみょうじの腕を掴み一気に俺の方に抱き寄せるとみょうじの体が一気に固まるのを感じた

『土方せん、せ、?』

「覚悟しとけよ、」

いつもより少しだけ低い声でみょうじの耳元で囁くとびくっ、と震える肩。

『・・・覚悟、しときます。』

真面目彼女。

(そういったあいつの唇を塞いでやった。
)



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