朝日に誓う






「カエデ……カエデ」


私は今、カエデの手を握っている。
彼女は血色が悪くなりつつあり、今握っている手もなんだか冷たい。


布団に眠っている彼女は、このまま目を覚まさないんじゃないかと思ってしまうほどに。




なぜカエデがこうなってしまったのか。
それはこの前の戦でカエデがマダラの弟であるイズナを庇い、二人一緒に攻撃を受けてしまって……


二人とも、重傷だった。
だから、マダラもイズナの傍にいる。


「……イノリ、ねえさ、ま……」


「カエデ!?」


カエデが、苦しげに目を開いた。
カエデは私の方を向いているけど、目の焦点は合っていない。


「イノリねえさま……お願いが、あります……」


「何?何でも言って。」


「私が、死んだあとは……私の目を、イノリねえさまにあげます……」


「カエデ……?何を言ってるの…!?」


カエデは儚く微笑む。
そのまま散ってしまいそうな彼女の手を、さらに強く握る。


「あなたはまだ死なない!もっと長く生きて、平和な世を見るのよ!」


「ねえさま……私、自分がもう長くないこと……分かるの。自分の身体ですから……」


「そんな……っ」


「だからイノリねえさま、……私の目をねえさまの物にして。……そしてどうか平和な世界を、その目に映して……見せて……」


おねがい…します。


カエデの言葉は弱っていって、最後の方は雪のように消えていった。


彼女の白い手がくたりと、力なく落ちていく。



「……カエデ?」


彼女の閉じられた目は開かない。


「カエデ、カエデ」


必死に呼び掛けても、答えることはない。


……生命の息吹を、もう感じない。


「いや……っ……カエデ………いやああああああっ!!」


いつの間にか開いていた赤い瞳から、涙が次から次へと溢れていった。













「……朝だね……」


「ああ。日の出だ。」


「……目は、馴染んだ?」


「……そういうお前はどうなんだ?」


朝の光を感じた私たちは、二人でそれぞれの目に巻いていた包帯の解きあいをする。


包帯が取られた二人の目が、それぞれを映す。
マダラの目は、イズナから。
私の目は、カエデから。


……私達二人の、たった一人の弟・妹から託され得たもの。



「あなたの顔が、よく見える」


「俺もお前の顔がよく見える」


マダラが私の頬を愛しそうに撫でるから、私も真似してマダラの頬を撫でた。


「俺は、お前だけは必ず守る。イノリすらも亡くしたら、俺は……」


「それは私もよ、もうこんな思いをするのは嫌だ。だから……」



「「早く戦争を終わらせ、平和な世界を見せてやろう」」












BAD ENDルート行きそうです…

なんというか、結局イノリもちょっとマダラと似ている所があります。妹を亡くしたら狂い出す。




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