繋ぐのも愛






外からスズメの鳴き声が聞こえる。もう朝かな、そう思って目を開けると、カーテンの隙間から入る朝日を反射する眩しい銀の髪と、その持ち主の柔らかい笑顔が目に入る。



「おはよ、フィオナちゃん」


ぎゅ、と私を抱きしめる獏良くん。おんなじベッドの上で寝ていたから充分距離は近いはずなのに、それでも彼は足りないのか私をぎゅっと抱きしめる。
それから何分かは経っただろうけど、獏良くんは私をずっと抱きしめて離さない。


……という事は、今日は休日だろうか。彼はいつもならすぐ離してくれる。そうして台所に立ち、朝ごはんだよ!と作ってくれたご飯を一緒に食べ、いってきます!と学校へ行く彼を見送るのが平日の朝だ。
しばらく彼の家に閉じ込められて、日付感覚がもう無い。……そういえばなんで私は閉じ込められているんだろう?……なんで?


「獏良くん」


「なに?」


「なんで私を閉じ込めてるの?」


そう聞くと幸せそうに浮かべていた笑みが消え失せ、「まだそんな事聞いちゃうんだ…」と彼は悲しそうに目を伏せる。


「僕とフィオナちゃんはさ、恋人同士だよね?恋人とはずっと一緒にいたいと思うでしょ?それに僕、君が他の人の目に映るの耐えられない。フィオナちゃんも、僕以外見ないで欲しいから」


この前もそう言ったでしょ?と、そっと手で顔を包まれ固定されてしまう。じっとこちらを見る獏良くんの茶色い瞳と目が合う。そのまま、瞳に吸い込まれそうなほど私の顔がはっきり映っていて、目眩を覚える。


「こうしていると、幸せだよね?」


再び彼が微笑んだ。確かに幸せかもしれない、そう惑わされていく。閉じ込められていること自体、疑問に思わなくなりそうで。


「フィオナちゃん…好きだよ…大好き」


愛おしそうにそう囁かれ、彼の顔が近づいてくる。
額や頬に唇を落とされ、最後は唇に彼のそれを重ねられ、酔わされていく。なんとなく、デジャブを感じる。そっか、前もこう聞いて、結局同じことになったんだっけ?

再びぎゅう、と抱きしめられて、ぽわぽわした頭は素直に獏良くんを受け入れる。

彼の背中に腕を回して抱きつくと、さらに強く抱きしめられた。


「まだこうして一緒にぎゅってしてようね……寒いし。起きたら朝ごはん食べて、それからたくさん遊ぼうね」


「……うん」


すり、と彼に擦り寄るように身体を動かすと、足枷の鎖が小さく音を立てた。
それが私の声にならない叫びのようで、けど私は獏良くんの事が好き。好きなままなの。


「獏良くん…」


「うん…?」


「私も好きだよ…」


私も獏良くんの顔を両手で包んで、そのまま唇にキスをする。あったかくて柔らかい。
彼は少し驚いて頬を赤く染めていたけれど、そのままキスを受け入れてくれた。
しばらく唇を重ねてからゆっくり離れると、獏良くんは嬉しそうに笑っていた。





――――――――――




獏良くんで監禁ネタ。無意識に洗脳して、無意識に洗脳された夢主は監禁される前と同じく獏良を愛し続けます。
拘束能力は足枷程度で他は自由だけど、獏良くんはギッチギチに拘束するのあまり好まないと思うんです…さすがに良心が痛むというか…。けどお外に出すのは認めない獏良くんであった。




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