※来神
 門→←←臨ぐらいかもしれないし門→臨かもしれない







臨也はいまいち掴みにくい奴だ。
けれどそんな奴に懐かれてしまってからというもの、なんだかんだで世話を焼いている自分がいるのだ。


「ねぇ、構ってよ」

構ってやっているだろうが、と言葉にするつもりはなかった。
ただそう思っただけ。
授業を抜け出して屋上へ上がれば先に抜け出ていた臨也がいた。
これはいつもの事だ。
しかしどうして俺はこんな風に臨也の後を追い掛けるような真似をするのか、さっぱり分からない。

「ドタチン、ねぇってば」

ムスッとした声音には先程と比べたら不機嫌にも聞こえた。
座ったまま上目使いにこちらへ両手を伸ばす臨也は俺の行動を待っている。
不機嫌そうなのは俺が返事をしなかったからでも、中々動こうとしないからでもある。

けれどそこに別の感情もある事だけは何となく気がついている。


自由奔放で掴めない。
いつだって自分の価値観で生きていて他人の干渉を嫌っていて。
だから自分と同じく(相反している)直球でぶつかってくる静雄との喧嘩も絶えない。
コイツを知る人間誰もが嫌な奴だ、歪んだ奴だと言う。
しかし俺にはそれだけではないのではないかと思えてならない。

臨也は、良くも悪くも素直なのだ。
そして素直じゃないのだ。
自分に正直で、譲らない。
けれどそれを一番臨也自身が愛してやまない人間たちに否定されても平気な顔をしてヘラヘラしている。
誰にも受け入れられない。
まあこんな奴受け入れられるような奴がいるとも思えないのだが。
それでもなんだか傍から見て哀れに思えて仕方がない。

「構って」

遂にはくしゃりと顔が歪んだ。
いつからだろうかこんな風に俺がコイツに同情するようになったのは。
それがただの同情ではなくなってしまったのは。

臨也が俺で遊ぶようになったのは。
周りの人間と同じ、ただの遊び道具だった俺が臨也にとっての遊び相手になってしまったのは。


コイツは寂しいんだ。
寂しいだけ。

それなのにただ利用されているだけだと分かっていたのに、今でもコイツが俺を求めている訳でもないのにこうして寂しそうに独りでいる臨也を追いかけてしまう自分が分からない。



寂しがりなコイツの身体をそっと抱き締めた。






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