3号×8号


眩しい。人工的な光ではなく、柔らかく暖かい、太陽の光。初めて見たそれに目を細めていると、3号が言った。

「……まずはその服をどうにかする必要がありそうだ」

タコの服はイカのと比べ無機質で目立つ。そのため唯一他に持っていたTシャツとバンドを着用して地上に出たのだが、3号はお気に召さなかったらしい。ちょっとまってろ、と言い残し広場の方へ歩いていく。
数分後着替えろと紙袋を押し付けられ、素直に着替える。壁に寄り掛かって待っていた3号に声をかけると、普段は動かない目元がふ、と緩んだ。

「やっぱり、似合ってる」

グソクさんに貰ったものだと渡された白い帽子に伊達メガネ。黒を基調としたワンピース。赤い靴。全く着たことのない種類の服に、居心地悪そうにしていた8号の顔がかあ、と赤くなった。

「行くぞ。8号なら心配いらないと思うけど、ナワバリバトルは初めてだろう」

マントをはためかせ踵を返した3号に慌てて着いていく。彼女らの戦いははまだまだ始まったばかりであった。


**
「初デートがナワバリバトルってどうなの?」
「それにあんなかわいい服着せといて、ねぇ?」
「デートじゃない。……服は8号に似合いそうなものを適当に見繕っただけだ」

ロブの出店で購入した(1号が普通に買いに行くと目立つので3号が代わりに買ってきた……つまりはパシリだ)サブセーブベリーをストローでジュコー、と吸いながら1号は3号を指差した。2号が愉快そうに口角を上げる。

「それってつまり8号のことかわいいと思ってるってことでしょ?」
「なんねなんね、素直じゃないだけで3号も8号のこと大好きじゃん?」

完全に面白がっている1号2号の怒涛の責めに3号は額を押さえため息を着く。

「そういうのじゃない」
「バトルばっかじゃなくてさー、どっか遊びに行ってみたら?オススメはスメーシーランド!」
「3号に任せたらネギトロ炭鉱とか言いそうで怖いわ〜」

人のことをなんだと思っているんだ。さすが遊びに行くのに炭鉱は選ばない。もはやツッコむ気力すら失せた3号は呆れた顔を向ける。

「私なんかと遊びに行くよりバトルのほうが8号は楽しいだろ」

やんややんや人のことを好き勝手言っていた二人はその言葉を聞いた途端に口を閉じ、呆気に取られた顔で3号を見つめた。困惑してたじろいでいると、二人は同時にため息をつく。

「3号、彼女いないでしょ」
「彼女もなにも私は女なんだが」
「8号が不憫に思えてくるわ〜」

なんなんだ、と眉を顰める3号をよそに、1号が颯爽と立ち上がった。

「よーし!アタシらが特別に3号にデートとはなにかということを教えてあげよう!」
「いや余計なお世話……」
「まずは服装やね、その服は仕事用だし3号もかわいくせんとね」

2号に手を引っ張られ1号に背を押される。戸惑う3号の制止の声も構わず、彼女は二人に強引に引っ張られて行くのであった。

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