マリ←ピチとヨッシー
ぽっかりと青空に雲が浮く、ぽかぽかと暖かい、晴れた日。ピーチが煎れたアプリコットの紅茶と、ヨッシーが作ったクッキー。お茶会するにはピッタリの組み合わせ。二人はそれぞれの物を持ち合わせて、ピーチ城の中庭で待ち合わせお茶会を開いていた。
「その時マリオったらね、きょとんとした顔で『ボクも好きだよ』って言ったのよ」
「それは…まさか」
「そのまさかよ!『ルイージもヨッシーも皆大好きだよ』って!酷いわ!私の気持ちも知らずに!」
むすっとした表情で紅茶を口にするピーチ。ヨッシーは困った顔でそれを見つめる。
二人がこうして定期的にお茶会を開く理由はこれである。ピーチの愚痴をヨッシーが真剣に聞いている様を見て、いつもはピーチの傍に佇んでいるキノピオも自分が居ては話しづらいだろうと席を外している。
「なんというか…あの人も相変わらずですねぇ」
そろそろ気付いてもよさそうなのに、とヨッシーはため息をついた。未だにむくれているピーチは頬杖なんかついて、最早一国の姫ではなく一人の恋する乙女のようだった。
「だいたいマリオは鈍感すぎるのよ!他人の感情にはすぐに気付くくせに自分に向かってる思いには全く見向きもしないんだもの!」
叩きつけるような勢いで溜まっていた思いを吐き出す。ヨッシーはそれにもニコニコと笑顔で対処する。それがピーチには不思議だった。
「あなたって…悩み事あるの?」
ぽかん、とヨッシーは口を開けた。と思うとすぐに拗ねたように唇を尖らせた。
「失礼な。ぼくにだって悩み事の一つや二つありますよ」
「悩み事が無いのが悩みとか言わないでよ?」
くすくすと面白そうに笑うピーチに、ヨッシーは「言いませんよそんな事!」とすこし口調を荒げた。
ピーチは液体がなくなったティーカップに新しくポットから紅茶をなみなみと注ぐ。角砂糖を入れて掻き混ぜると、それはすぐにとけてなくなった。
気持ちを吐き出して少し楽になった。
ヨッシーはピーチにとってよき相談相手だ。ちょっとした愚痴にも親身になって聞いてくれるからこちらも相談しやすいし、楽しい。
そんな相談相手に恩返しするために、その悩み事とやらを聞いてやろうじゃないか。
ピーチは姿勢を正して、聞く体勢に入った。
「私ばかり話すのもアレだから、ヨッシーもなにか相談したら?愚痴聞いてあげるわよ」
はぁ、とヨッシーは小さく息をついた。
20140117
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