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今日の屋敷には人がすくない。みんなおなかがすいて帰っちゃったのかなぁ、とカービィが検討はずれなことを暇そうに言っていたのを、マリオはぼんやりと思い出した。

ピットはピットで、恨めしそうにリザルト画面を見つめていたが、もう今の乱闘で十を超えていた気がするし、リベンジするにもマリオの体力も自分の体力も限界に近いので、また今度の機会にすることにした。

「うーんさすがに疲れたね、飲み物でも持ってこようか」

「あ、じゃあボクが行ってきます」

走り出そうとしたピットを、しかしマリオは制した。

「ピットは疲れてるでしょ?ボクが持ってくるから、きみはここで休んでなよ!」

ピットが呼び止める間もなく、マリオは冷蔵庫のある食堂へ駆け出した。
気を使わせちゃったなあ、と頭をかく。どっかりとソファに座り込み、大きなモニターをぼんやりとみつめる。普段はメンバーが乱闘しているのが映し出されているそのモニターは、今は誰も戦っていないからか真っ白な練習ステージが映し出されているだけだ。

ピットはマリオにずっとあこがれていた。ここに招待されるまえから彼の試合は天空界から欠かさず見ていたし、亜空事件では一時的にふたりで行動もして、フィギュア化した彼をたすけたことだってある。
(それをちょっと誇りにおもっていることは、まだ本人には言っていないけれど。)

マリオは自由なひとだ。また今も、ピットの言葉なんて聞こえないとばかりに走っていってしまった。
べつにそれがわるいことだとは思わないけど、ピットとしてはすこしだけ悔しい。
あの、自分より背が低い、でも果てしなく大きいあの背中をみつめるのは好きだが、やっぱり追いつきたいという願望があるのだ。
冒険がだいすきでいつも陽気なマリオのことを、一番近くで見ているであろうルイージやピーチに、彼のことをどう思うか聞いてみたこともある。するとふたりは顔を見合わせ、口をそろえて言うのだ。優しいお人好しのスーパースターだ、と。

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