それは突然やってきた
あれから、獄寺くんは帰ってくることなくあっという間に放課後になった。

山本は部活があるからと、オレは1人帰り道を歩く。
獄寺くんの“裏切り者”という言葉の意味を考えながら。

もちろんオレは自分が考えうる範囲では思い当たる節がなく、疑問が募るばかりだった。
知らないうちになにかしてしまったのだろうか、だとするとあんなに慕っていてくれていた獄寺くんが離れてしまう程の事。
それはきっと余程の事で、それに気付けないという事が、オレが仲間を傷付けたという事が、凄く情けなくて悔しかった。

そんな想いを抱えながら家に帰った。
ただいまと玄関をくぐると、いつもうるさい程に賑やかに迎えてくれるランボ達が居なかった。


「母さん、ただいま。ランボ達は?」


「あら、おかえりなさい。ランボくん達なら、何だかもうここにいる必要が無くなったから帰るって、急に荷物をまとめちゃって、あっという間に出ていっちゃったの。せめて、ツーくんが帰るまで待てないかって言ったんだけど、何だかツーくんには会いたく無いみたいで…ツーくん、何かあったの?」


母さんは困ったように、けれど心配そうにそう告げる。
別れの言葉1つなく、突如消えるだなんて何かがおかしい。
昨日までは何も変わらず普通だったのに。

何かが可笑しい…そう感じたオレは思わず家を飛び出していた。
アイツ等の行く先に思い当たる所なんてない。
けれど、勝手に来たくせに勝手に居なくなるだなんて許せなくて。
せめて理由くらいは知りたくて、オレは走って声を上げ皆を探した。

漠然と胸に広がる不安を感じながら、息を切らし探して回った。
けれど、


「…皆、どこ行っちゃったんだよ…」


どこを探しても1人として見つける事は出来なかった。
ここからオレの日常は大きく変わっていく。

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