大切なのはインスピレーション


笑うな・・・・




笑うな・・・・




もう、笑うな




ヒサナ

























「・・・・・・夢見悪っ」












*    *    *







最近、同じ夢ばかり見る。何かやたら音が反響する部屋で笑うな笑うな言ってくる夢、何かシリアスっぽい雰囲気出してたけど気のせいだ。そもそもワタクシシリアス似合わない




旅に出る。それだけが頭にあるわけだがそう言えば出発何時だったか、あ今日だよやっばい荷物一切準備してねぇ
うん、テレビでもつけようか
べ、別に泣いてなんかないんだからね!


カーペットに転がっていたチャンネルを拾ってテレビをつける
丁度朝のニュース番組の時間で、『それじゃ、今日の占い行きましょう!』の一言で一気に画面がファンシーになった





『さぁて! 占いの時間だよ〜!
今日はハッピーかな? アンハッピーかな? 占ってみよー!』




テンション高いなこの人



『今日のハッピーはバッフロン座のあなた! とにかくハッピーな一日!』




なんてなげやり 何がうまく行くのかすら分からない




『そして今日のアンハッピーはペンドラー座のあなた!』




マジでか・・・ペンドラー座の私は落胆しながら小倉トースト(あんこ乗っけたパン)にかじりついて・・・―――――







『そしてペンドラー座の中でも今あんこなんて食べてる人! とにかくやることなすこと全てがアンハッピー! 救いの余地なしだけど頑張って生きてね!』






「生死の問題まで発展したんだけどどうすればいいんだろ」



イチゴジャムにしとけばよかった
つか何故アンハッピーの方詳しく占うの


















と言うわけで死を宣告された(訳ではない)私です。うん、今日は外にいよう 中にいたらいろんな意味で危ない気がする


そう考えながら着替えて外にでる。着替えると言っても黒のスウェットから灰色のスウェットに変わっただけ、救いようのないダメ人間、髪の毛も灰色だからなんか気持ち悪い。今度はもう少し濃い灰色にしよう
ウォークマン起動させて耳にセット、よし、寝よう 寝てたら明日になってるはず



「さぁ寝よ≪ドサッ≫ピギャアア!!」




いきなり目の前に落ちてきた青い物体、ドラえもんじゃないよ
つかぴぎゃあって言っちゃったよ




「・・あ、リオルだ」



すぴょーと可愛らしい寝息を立てるリオル君 なぜか擦り傷だらけ




「ぐる・・・・・」


うっぎゃああああああかわえええええええ
ぐるっておま・・ッぐるっておま! 萌殺す気かああああああああああ





「・・・・・・おーい、起きたまえや」



私の特殊能力ポーカーフェイス発動で何とか凌いでるけどぶっちゃけ鼻血の一滴でも出そうだ



「・・・・・ぅ?」


前言撤回 出たねこれ、鼻血



≪おまえは、だれだ?≫

「おおっこれが波動というやつか」

≪まだはどうじゃないけどな、まだよわいから≫

「ほう、あ、私はまぁ、ヒサナ、と名乗っておこうか」

≪・・・・ほんみょうではないのか?≫

「ごめん、言いたかっただけです普通にヒサナと言います」




すんません、粋がりたい年齢なんですごめんなさい



「で、どうしたの君いきなり上から降ってきたよ」

≪いや・・・・こうきしんできのうえでねてたららっかした≫

「あーあるある つーことで、」

「ぐ?」



は? 的な意味なんだろうけど可愛さ異常だから気を付けようよリオルくん



「手当てしようよ何があったのその傷だらけ」

≪よけるのめんどうでくさむらはいっていったらいろんなもんにおそわれた≫

「どんまい
さてさて行こうか我が家 何か飲む?」



なーんだ全然厄日じゃないじゃないか寧ろなにこれバッフロン座にも勝てるよこの幸運




≪なんかいやなよかん≫



ボスッ



とか思ってたら何か降ってきた(2回目)




ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ




あれー何か聞きたくない音が、つかなんかね、六角形がいっぱい見えたんだけど



「リオル君これなんだっけ」

≪すぴあー・・・・・・のす≫

「中身と言えば?」

≪すぴあー・こくーん・びーどる≫

「ぎゃあああああああああ!!!!!!!!」






追いかけてくる音がするけど完全無視の方向でいこうね!



「何で降ってくんの何でうちの近くに巣なんてあったの確かにこんな森の中みたいな所の一軒家だけどさぁぁぁぁぁ!!!」

≪おちつけ! おまえのぽけもんはいないのか!?≫

「ふははははは!生まれてこの方外出たことあんまり無いからポケモンとか見たことぐらいしかないね!!

だからはいダァァァッシュ!」



もう笑いが止まらない こりゃ下手すりゃ死ぬね! ごめんね一瞬でも疑っちゃったよ占いのお姉さんこういう事か!



ザァァァァァァァァァァァァァァ



「雨降ってきたぁぁぁぁぁぁ!!!!」



しかしあきらめないスピアー方!! がんばれ私!





バタンッ



「ぜーはーぜーはーぜーはー・・・・・っ」

≪だいじょうぶか?≫



一気に家の中になだれ込んでずるずると座りこむ。あー・・・死ぬかと思った
つかなんでケロッとしてんのさひっきーとは違うんだよってか私一応体力自信あったんだけどなぁ・・・
・・・とりあえず着替えよう










さて、



「大丈夫かいリオルくん」

≪まぁ・・・・≫

「よし、今日一日は家にいよう、外に出たら危険なんだよ餡子のせいだ畜生」

≪は?≫

「あーうん、こっちの話 さーてと、手当て手当て・・・・」

≪?≫

「傷薬はたんとあるからね、」



救急箱片手に手当て開始、たまに痛がってたけど大丈夫っぽいな、よし完了



「何か食べる?」

≪いや、これいじょうせわになるわけには・・・≫

「雨とスピアーのダブルコンボに挟ませるほど鬼畜じゃないよ私は」



てか私が君と話したいんだつか愛でたい、
ちょっとどもったリオルくんをテーブルに座らせて牛乳を出す。どんな反応するかと見てみたらこれがまた可愛らしい表情をしてくれた。どうやら乳製品好きらしい







あ、どうしよう





「・・・・・・気分って恐ろしいよね」

≪と、いうと?≫

「リオルくんはその、旅に興味ない・・・?
ああ、あのね、私今日旅に出るのだよ、だからあのー・・・・あー・・・」




いきなりすぎたな、なんかね、こう、相棒? だっけ、そんなのになってほしいなとか思ってしまうんだこれが、うううううわああああ絶対ひいてるよドン引きだよどうすれば!!




≪・・・・ちょっとまて≫

「・・・・・ん?」

≪よろしくたのむ、その、おれは、おまえについていきたい≫



頬を赤らめて言うリオルくんは、矢鱈可愛かったです


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bkm