黒猫と革紐。 | ナノ




◎つ・め・あ・わ・せ


あいもかわらずついった放出ネタ再回収



◎ジョジョ見てハマりました


オズ「ギルってジョジョ3部ならアブドゥルだよな、スタンド的に」
ギルバート「やめてくれ!鴉があんな首から下ボディビルダーみたいなチェインになってたまるか!」
ブレイク「でも喚んだ時の鎖とかまんまレッドバインドですし……頑張ったらなんちゃってクロスファイヤーハリケーンとか出せないんですカァ?」
ギルバート「出せるか!」


ギルバート「聞いてくれ…あいつらオレやおまえをアブドゥルとマジシャンズレッドだって…」
鴉「……、」
ギルバート(あれ?こいつこんなに小さかったっけ?それに首から下…炎でなんだか…人間っぽく…)
鴉「……、」こくり
ギルバート「おまえまでクロスファイヤーハリケーン撃ちたいとか言うのか!?」



◎とある胡散臭い商人と少女のはなし


なんでも好きなものを選んでいいよ。そのための代金はもう貰っているからね。どうだい、みんなキラキラ光って綺麗だろう。
ああ、それはこの間届いたばかりの物でね。この紅をそのまま持ってくるのに苦労したんだよ。
え、これにする?わかった、持っていくといい。お伽話にもなった、哀しい男の魂だよ。

おや、この前の魂はもう飽きてしまったのかい?あれにはたくさんの記憶が詰まっているから儲けものだと思うんだけどな。
ん、違う?寂しがる?そうか、ならこれを傍に置いてあげるといいよ。あの魂と長く共にあった物だ。これも綺麗な月色をしているだろう。
代金?いやいいよ、もうもらっているからね。

ああ、また君か。今度はどうしたんだい?二つだけじゃまだ寂しいかな?ちょうどいい、また新しい物が来たんだよ。紅と月のマーブルに、飴色、翡翠、桃色、元気な赤。みんな傍に置いておあげ。
代金はやっぱりいいのかって?そうだよ。君からはもらっているから。さあ、持って帰るといい。

あらら、また来たのかい。
え?今日は買い物じゃない?どうして代金を受け取らないのか?
うーん、気にしなくていいんだけどなあ。でもまあ、教えてもいいか。あれらは巡りから離れた寂しがりの魂達でね。
君に売れば、彼らに居場所を与えてあげられるんだ。だから、もう帰って傍に居ておあげ。アリス。

真っ白な君ならどんな色の魂も受け入れられるだろう。
君に渡した魂の中にある記憶はみな悲しくて美しく、そして脆い。
けれどどんな物語でも楽しんでくれる君の元にあれば、少しは彼らの傷も癒えるだろう。たくさん彼らの話を聞いて、また百の巡りに還るその時まで一緒にいてあげて欲しいんだ。

さて、今日はもう店じまいだな。オレも明日の仕込みがあるし。


◎刺青の夢


今でもあの光景は夢に見る。

言葉なく連れられたのは知らない場所で、周りを囲むのは村の男達で。起き上がろうとしたら頭を押さえつけられて、それから頬に針を刺された。痛くて声を上げたけど誰も助けに来なくて、それから何度も何度も針が頬や眼の周りを刺していったあの恐怖は、幼い私には耐えられなかった。
今思えば、隣に置かれていた鉢に入っていたのは村でよく使っていた染料なんだろう。私を刺したあとの針はそこに浸かって、また戻ってきたから。
手元が狂うからと眼を閉じることすら私の自由にはならなくて、食事も挟まれないまま半日近くそれは続いた。その後熱を出したらしいけど、そこはよく憶えていない。
熱に魘されてもう一度眼が覚めた時に鏡に映ったのは知らない私で、顔の半分に大きな刺青が走っていた。
刺青を入れられた部分は腫れぼったくて、それから三日の間は触るだけでズキズキと傷んだ。でも、顔の痛みより心の痛みのほうがずっとずっと大きかった。

昔から自分が疎まれていたとは知っていた。
何にも出来ない役立たずだと罵られ、そのくせ触れれば汚れる忌み子だと遠巻きにされ、何度も泣いた。けれど、こんな事までされるなんて思わなかった。
自分ではままならない事のせいで、ここまで否定されるだなんて思わなかった。

その日から、いつかこの村を出ていきたいと、誰でもいいから自分を否定しない人の所へ行きたいと願うようになった。
私を忌み子と呼ばない、この刺青の意味を知らない誰か。
それを探して、でも人里から離れたこの村から出ることは出来なくて結局何度も戻ることになったけれど。

でも、あの金の光に出逢ってから全てが変わった。
あの光を見た時のこともよく憶えている。月と太陽を溶かして混ぜたような優しい金色をして、すぅっと私の中に入ってきた瞬間、私は泣いた。
この村は私の本当の居場所じゃなかった。
私には、たくさんの仲間が待つ場所があるんだと光が教えてくれたんだ。

そのまま村に別れも告げず、体の中の光が教えてくれる場所へ何日もかけて歩いた。
村から山を越えて人のいる場所に出るまで何日もかかったけど、不思議と辛さや空腹は感じなかった。ただただ嬉しくて、早くそこで待つ人たちに逢いたい気持ちだけで足が動いていたんだと思う。
ようやくたどり着いたのは大きなお屋敷で、少しだけ不安に思ったけどそっと扉を開けて中へ入った。あの村よりひどい場所なんてない。たとえ違ったって、また光に従って歩けばいいだけだ。

――そして、扉の先には私の望んだ全部が待ってくれていた。

そこにいる人達は誰もこの刺青の意味を知らなかった。格好いいとさえ言ってくれた。
今まで誰も手を貸してくれなかったから自分の事は自分で済ませなきゃいけなかったけど、私の品も何もない所作を見て呆れながら正してくれる人もいた。
そこにあったのは、私がずっと焦がれていた家族そのものだった。

刺青を刺された日の事は今でも夢に見る。
でも、夢の続きでいつも私はあの光に出逢う。だからその夢は悪夢なんかじゃなくて、今の私に変わる瞬間の記憶を繰り返しているだけなんじゃないかと思う。夢を見る度私はこの幸せを実感して、頬が綻ぶ。この刺青は消えないけれど、もう意味を知る人はいない。
今この刺青が持つ意味は忌み子の印じゃなくて、血は繋がらないけれどもっと深いところで繋がった仲間の証。
だから、私はあの夢のあとに必ず鏡を見る。そこにいるのは知らない私じゃなくて、仲間の印を刻んだバスカヴィルの私。仲間と出逢って、幸せな私なんだ。

だから、私はこの幸せを守る。この先何があっても、私が家族を守るんだ。そのための力だってある。
バスカヴィルの使命なんて実はまだよくわかっていないけど、みんなで笑っていられる時間を守るためなら泣き虫な私だって強くなれると思うから。

刺青の夢は、もう恐くない。



◎忠を忘れられぬ忘七


「ねえ聞いたかしら。鴉屋のあやかし太夫がとうとうお上につかまったそうよ」

「ああ、異人だって噂の花魁太夫ね」「紅の片目に雪の髪、背も高くてばけものみたいな女郎なんでしょう」「あの忘七はどうしたの」「噂だとあれも異人なんでしょう?」「二人共死罪かしら」「どうもそうみたいよ」「異人だって知ってた女郎や禿もみんな捕まるのではないの?」「かわいそうに、鴉屋はこれで終わりね」「でも、今になって誰かあやかし太夫を密告したのかしら」「あの忘七がお上を手懐けてた筈なのに」「あやかし太夫、また脱走しようとしたらしいわ」「あの足で?」「逃げ切れるはずないじゃないの」

「前に同じ異人の男と逃げようとした時のこと、忘れたわけではないでしょうに」

「あの硝子眼鏡の男が死罪になったのはあやかし太夫をかばって捕まったからなんでしょう」「どうも逃げ出した理由はそれみたいよ」「どういうこと?」「その眼鏡の男の遺品がお上から出島の館へ還るらしいの」「じゃああやかし太夫はそれを取り戻そうとしたのね」「そんなことあの忘七が許す筈ないのに」「でも二人共捕まったのなら一度は遊郭から逃げたのかしら」「客を襲って着物を着替えたらしいのよ」「あら恐ろしい。本当にばけものね」「外で忘七が捕まえた時にはもうお上に囲まれてたらしいわ」「ならその時に忘七も異人だって知られたのね」「あやかし太夫が大声を出したって。この男も自分と同じ異人だとね」「それで捕まえてみたら目玉は月色」「黒髪とはいえ近くで見られたらもう駄目ね」「明日の昼に忘七は密航の咎、あやかし太夫は女が出島以外の土を踏んだ咎で死罪らしいわ」

「そうそう、それで面白い話を聞いたのよ」
「あらなあに?」

「あやかし太夫、どうも男だったそうよ。死罪にするのには変わりないから女で通したらしいけれど」「本当に?今まで客の相手はどうしてたのかしら」「あの忘七、あやかし太夫に通す客はかなり選んでたらしいからみんな知ってたんでしょうね」

「聞いた?あやかし太夫、牢屋に入れられていた間に舌を噛み切って死んだそうよ」
「忘七も隠し持っていた小さな種子島で頭を撃ったらしいわね」

「なんだ、知ってたの」「遊郭中がその話で持ちきりだからね」「向かい合わせの牢に入れていたらしいけど、死んだ時間は一緒だとか」「あら、まるで心中ね」「審問中だったし死体は塩漬けになるのかしら」「瓶に入れてそのまま異国へ還すのでしょうね」「そうそう、あやかし太夫と忘七、昔死んだ眼鏡の男と同じ国の出らしいわよ」「みんなこの国で死んで、ようやく還るのね」「意外と幸せなのかもしれないわね」「悪趣味だこと」

こんな籠の中にいれば、性格だって歪むわよ



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