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それから、私たちは警察の人たちより早く返してもらうことになった。
舟屋さんの船で帰るとき、"ロマンス"の記者である赤井さんと一緒になった。
「大層酷い事件だったそうやな」
取材したで、と言って赤井さんは悲しそうに微笑んだ。
恐らく全容を知ってしまったのだろう。
「ま、これがうちの仕事やし。
心霊スポットゆーか…これじゃ新聞記事みたいになってもうたわ」
赤井さんはまた笑い、それから言った。
「そや、今回月号の"ロマンス"二人に送ったるわ。
…うちの記事呼んでもらいたいし、読者が増えるいい機会かも知れんし!
よかったら住所教えてくれん?
確か何とか荘ちゅうたと思うんやけど、思い出せへんのや。
…あ、嫌やったらええのや!構わんで?」
赤井さんの人の良さは、もう言わずとも解っている。
少し二人で考えあずま荘のことを話した。
その後はプライベートのこと、"ロマンス"のこと、探偵のことなど私情について楽しく雑談した。
赤井さんは女性だし、ノリもいいし、話もあった。
「もうちょいで着くぞ!」
舟屋さんがそう言って、それから"ロマンス"のバスから降りるまで楽しく話した。
「じゃ、ほな!
絶対雑誌送るから待っといてや」
「はい、また!」
「"ロマンス"、待ってます!」
そう挨拶を交わし、バスが見えなくなるまで手を振った。
「…瑠々、この後電話でも見に行く?」
「あ!
…そうだよね、じゃないとまた…」
安土さんの鬼の形相が脳裏に浮かび、ブルッと身震いした。
「じゃ、支度をして行きましょうか」
「うん」
・・・
今日我が家に、月石探偵事務所に、悲しい事件を解決したその日に、新しいFAX付きの白い大きな電話があのダイヤル電話の位置に置かれたのだった。
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