おまけ(風となって消えた。)
「ユーリの初恋が14歳年上の人なんてビックリだなぁ」
「そう〜?おっさんは絶対に青年は年上好きだと踏んでたわ〜」
ハンクスじいさんが周りに余計なことを言うもんだから、さっきからこの話題ばかりだ。
この類の話におっさんが食いついてくるのには予想は出来ていたが、まさかカロルも反応を示すとは意外なもんで。
「ね、ユーリ!その人とは付き合ったりしたの?」
「…おまえな、10歳と24歳だぞ?さすがに可愛い弟分止まりだろうな」
22歳になった今ならハッキリとわかる。
さすがに恋愛対象にはならないと。
そして当時は10歳の餓鬼の想うことだ。
付き合う云々じゃなく、単純に大好きだっただけなのだ。
「どうした、カロル」
「なんか…ごめんね?」
「別にいいけどよ」
別に落ち込んじゃいないが、カロル先生の異常なまでの気の使いように心が痛くなった。
「しっかし青年も意外とおませさんなのね〜。けどまぁ初恋ってのは大抵実らな…「おっさん」
良からぬことを言い出しそうなおっさんの肩にオレは片腕を回す。
その行動の意味を察したおっさんは、あーゴメンゴメンと両手をあげた。
「少年は実るといいね〜!」
「だな。頑張れよ、カロル」
「…ナンはそんなんじゃないよ!?」
「別にあの子のことは言ってねぇだろ」
「へ?…ああっうん、そうだね!それにほら、ボクは女の子らしい子の方が好みだしねー!」
「そっか」
なんともわかりやすいこの12歳。
必死に隠しているようなので、これ以上は何も言わないでおこう。
「あの…ユーリ、聞いてもいいです?」
「なんだ?」
今度はエステルが遠慮がちに会話に参加する。
「その…初恋の方はまだ帝都にいらっしゃるんです?」
「いや?帝都にはもう居ねぇな」
「じゃあ今はどうしているんでしょうね」
「あーそうだな、」
少し考えた後、オレは一度
目を閉じた。
結婚して
幸せに暮らしてるよ
きっと
(ねえねえ!14歳年上ってことはおっさんと同じくらいって事だわね)
(…………。)
(ちょっと青年!どうしてそんな哀れむ様な視線を送るわけ!?)
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子供もいるんだろうな。
20120402.haruka
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