男と女の幼馴染





目を開けて真っ直ぐ先に見えるのはテントの天井。



月明かりが差し込んでいるため、その布からは少しだけ光が漏れている。




ぼーっとそれを見つめていると隣に居るユーリが咳払いをした。
「ああまだ起きているんだ」と確信したので、さっきから気になってならないことを聞いてみた。





『ねえ、ユーリ。
私、今まで自分は女の子だと思って生きて来たんだけど』

「オレもおまえは一応女だと認識してっけど」




背を向けたまま返事をしたユーリに対し、私はガバッと上体を起こす。この際゛一応゛を付けられたのはどうでもいい。





『じゃあどう考えてもおかしいでしょう!どうして私が男性陣と同じテント!?今は女の子のが多いけど何かもうちょっと気遣いとかないの!?』





そう。今私が居るテントには、ユーリとカロル。もうひとつのテントにはエステル、リタ、ジュディスが居るのだ。



これはどう考えても私は不満なワケで。



ユーリはゴロンと寝返りを打って、こちら側を見た。




「おまえがリタに追い出されてこっち来ただけだろ。それに、エステルにジュディス、リタ、名無しだったら必然的におまえがこっちだな」


何故納得出来ていないのかが解らないというかのようにユーリはケロリと答えた。


『必然…!?全然わかんない!』




…とは言ったものの、私達には【幼馴染み】という称号がある。

一緒に寝たことが無いと言ったら嘘になるがそれはもう昔の話。



ユーリは気にしていないのは明らかだけれど、私的には色々、その、気まずいのだ。

そんな事を悶々と考えていると「ああ…」と何か理解したのかユーリは声を漏らした。







「それに大丈夫だ。おまえにそんな気は起こさねえからよ」






カチン。

ユーリのことだから気を遣ってくれているのかもしれない。
けれど。女としてそれはそれで…



『腹立つー!』



ちょっと殴らせろと言わんばかりにユーリの腹の上に乗って拳を振り上げるが、その拳はユーリによって阻止される。




「ばっっ上に乗るな!重いだろうが!」

『うるさい!』

「っつーか男に馬乗りっておまえ何考えてやがんだよ!それでも女かよ!?」

『んだとコラー!じゃあ今此処で脱いで証明してやらあああ!』

「おいっ!落ち着け!」




女にあって男にないもの見せてやるよと言わんばかりに上の服に両手を掛けるが、これまたユーリの手によって阻止される。




『うわ!?』




次にユーリが思いきり上体を起こすことで私の視界は反転する。

まさに体制逆転。

捕まれた私の腕は、そのままあらぬ方向へ持っていかれた。




『っぎゃー!痛い痛い痛い!』


「やっぱりおまえは女だな。男の力を見くびんなよ?」

『ちくしょおおお離せぇぇえええ!!!』




「さあどうすっかなー」







森の中には対照的なテントがふたつ。

その内のひとつ、静まり返っている方のテントには小さな訪問者があった。





「あら?カロルどうしたの?」

「あのさ、ジュディス…ボクもそっちで寝ていい?」

「私は構わないけれど」

「馬鹿なこと言わないでよ!あんたは戻りなさいよね!」





狭いからってなんの為に名無しにあっちに行ってもらったと思ってんのよ!

リタはカロルに一発チョップを食らわせた。「あうっ!だって名無しとユーリが煩くて眠れないんだよおお〜…」





「気の毒ね…」






(すー…すー………)
(…結局構わず寝たのかよ)
(カロルも煩くして悪かったな)
(ぐー…ぐー………)
(…寝れていないのはオレだけか)


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自ら進んで男性陣テントにいくyo!\(^0^)/
あと…二十歳を越えてから「男子」「女子」ってなんか言えなくなった。

20120305.haruka

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