ヴァンパイアの誘惑(3/3)



『みっなさーん、白石蔵ノ介は見つかったかしらん?ゲーム終了まであと5分やでー!』


放送の合図もなしに響き渡った気の抜けるような小春ちゃんの声。
がっくし、音がしそうなほど脱力して、蔵ノ介が私の肩に顔を埋める。

「〜〜〜っ、小春のヤツ、どっかで見張っとたんちゃうやろな……」
「まさかぁ」
でも小春ちゃんなら決してないとは言い切れないから、乾いた笑いしかでてこない。

「ま、続きは後のお楽しみっちゅうことやな」
意味深なことを言って妖艶に微笑むと、蔵ノ介は私の手をとって立ち上がらせてくれる。
「今は早いトコこのゲーム終わらせようや。一緒に踊るやろ?」
「勿論」
ほな、決まりな。
そう言うが早いか、蔵ノ介は私を抱き上げると(しかも俗に言うお姫様抱っこというやつで!)ひらりと屋上の地面に飛び降りた。



そのまま生徒会室に連行されて全校生徒の注目を浴びることになったのはいうまでもない。



HAPPY



(“白石蔵ノ介を探せ!”ゲーム、勝者は2−2、五十鈴川ひなさんや!)
(小春、マイク貸して)
(ええけど蔵リン何するん?)
(えー、因みにこのゲームは今年限りで終わらせていただきます。俺、ひな以外とは踊らんて決めたんで)
(ちょ、蔵ノ介!?)
(ええやろ、こうすればお互いの虫除けができるやん)
((どうしよう、私、ファンの子たちに殺されるかも……))

(ここまでお膳立てしてやったんや、幸せになるんやで、ひな、白石!)
(しっかしひな先輩はともかく白石部長があそこまで鈍いなんて意外やったスわ)
(ま、とにかく一件落着ってとこやな!)
(ユウジのいうとおりたいね。白石、俺らがひなと話とうとえすかったばいね)
(せやせや!ひなと話しとっただけでランニング倍とかな!部長の職権乱用やっちゅー話や!)
(え、それは謙也先輩だけなんとちゃいます?)
(え゛!?)






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