仕返しは倍返しで 2 *ほぼ会話文!
ザクッザクッ…
ボク達3人は、花火をセッティングしている砂浜に来ていた。
暗がりに、花火の球を持った男が一人、機械に囲まれて座っていた。
「オィ、ホカゲ!」 「おぉ、カガリじゃねぇか。何だ、手伝いに来たのか?」 「は?寝言は寝てから言いな」 「つれないなぁ…。って、あ!!ななな何でお前らが居るんだよ!!」
バッと立ち上がり、ボクとサファイアを交互に指を差しながら大声で叫んだ。
「五月蝿いですね。人に指差しちゃいけないって、親から言われなかったんですか?指へし折りますよ??」 「んだとコラァ!?」
パァンッ
「だぁっ!?今オレの額に何か当たったぞ!?」 「すみません。あまりにも五月蝿かったので、手元が狂いました」 「何だと…って、それ射的の鉄砲と球じゃねぇか!!何でお前持って来てんだよ!?」 「ケツアゴからもらいました」 「ケツアゴ…あぁ、ホムラか」 「えぇ。よく解りましたね、キタロウ」 「まぁな…。ってオィ、オレはキタロウじゃねぇよ!!」 「五月蝿いですね。片目をその欝陶しい前髪で隠してるじゃないですか」 「うるせぇっ!!キタロウは逆の目だ!!オレは右目隠してんの!!」 「キタロウ、あたし目玉オヤジと会いたかっ!」 「お前…今の話聞いてたか…?」
パァンッ
「ってぇ!!」 「サファイアをお前呼ばわりしないでくれません?両目撃って潰しますよ??」 「な…っ!?」 「それよりキタロウ、花火はまだなんですか??ボク達、待ちくたびれちゃいましたよ」 「随分と勝手だな、オイ」 「キタロウ、目玉オヤジは何処におると?花火の中?」 「オレはキタロウじゃねぇし、自分の親を花火の中に入れるアホでもねぇよ。ってか、キタロウネタいい加減やめろよ!!」 「止めて欲しいんですか?」 「当たり前だろ!!オレはちゃんとホカゲって名前があるんだぜ!?」 「じゃあ、バトルでボクに勝てたら止めてあげてもいいですよ」 「…臨むところだっ!」
「ゆけっ、ZUZU!!」 「打ち負かせ、マグマッグ!!」 ニヤリ…
ボォッ
「な!?」 「いいんですか?花火に引火しちゃってますよ?」 「や…ヤバッ…!!」
バァンバァンッ!! ヒュルルドォォンッ!!
「うわぁぁっ!?戻れ、マグマッグ!!」 「アハハハハハッ!!もう遅いですよ」 「テメェ…ッ、わざとやったな!?」 「今更ですか?気付くの遅すぎですよ」
引火した花火は、次々と砂塵をあげて爆発しながら、大地に大きな花を咲かせ続けていた。
「わぁ〜…、綺麗ったぃね…」 「やっぱり、燃えて散る時が一番美しいねぇ…」
「お…おぃ、カガリ!!何突っ立って傍観してんだよ!!」 「何?あたしに指図する気?あたし前に言わなかったか?楽しめりゃそれでいいんだって」 「な…っ」 「良かったね、サファイア。綺麗な花火見れたよ」 「そうったぃね、ルビー!!でも、目玉オヤジは生きとるやろか…?」 「う〜ん、どうだろうね…」 「まぁいっか♪」 「目玉オヤジに会いてぇっつったのはお前だろ…」
パァンッ
「だっ!?」 「お前呼ばわりしないで下さいって言ったじゃないですか」 「チッ…わぁったよ!!」
ドォォン…
最後の一輪が咲き終わり、砂浜は再び静寂に包まれた。
「あ…花火終わっちゃいましたね。ってか、これだけ?終わるの早くないですか?」 「るせぇ、悪かったな、これだけで…。…クソッ!!何でこんな目に遭わなきゃならねぇんだ…っ!!グスッ…」 「キタロウの目にも涙ったぃ、ルビー!」 「だからキタロウじゃねぇって言ってんだろ!?それに、キタロウの目にも涙って何だよ!!変な造語作ってんじゃねぇっ!!」 「黙れキタロウ」 「うるせぇっ!!…チクショウ、折角の花火が台なしになっちまったじゃねぇか…っ!!」 「良かったですね」 「良くねぇよ!!どうしてくれんだよ!!」 「知りませんよ。花火の傍でマグマッグを出したキタロウが悪い」 「クソッ…!!」
ボク達は帰ろうと背を向ける。
「あー、楽しかった♪じゃあ、ここにはもう用はありません。…あ、そうそう、言い忘れていたコトが一つ」
「…何だよ…」
くるりと振り返って、ボクは言った。
「今、ボク達のことを酷くて最低な奴らって思ってませんか?でも、覚えてます?先にボク達に酷いコトをしたのは、あなた達なんですからね」 「…っ」
「それじゃ、さようなら」 「キタロウ、次は目玉オヤジと会わせてなぁ!」 「じゃあな、ホカゲ」
「クッソォォォッッ!!!!覚えてろよ!!!!」
「負け犬の遠吠えったぃ…」
ボク達は、キタロウの叫び声を背中越しに聞きながら、砂浜を歩いた。
「これで良かったのかぃ?」 「えぇ。目的は果たせました。ありがとうございます、カガリさん」「ありがとうと」 「フッ…いいんだよ。あたしも面白いモンが見れたしね」
ザザン…
波の音が、暗がりで響く。
カガリさんは続けた。
「思い残したコトはもう無いかぃ?」
「えぇ、もう十分楽しめましたし。それに、
今までの分を倍返しできましたしね」
****おまけ******************
ザザン…ザザン…
「…なァ、ホカゲ」 「何だ…」 「オレ達、何だか惨めじゃねぇカ?」 「あぁ…」 「気晴らしに…食い物売ってる出店にでも行くカ?」 「そうだな」 「今夜はやけ酒ダ!!」 「あぁ…。朝まで付き合うぜ」 「オゥ!!」
肩を組んで、笑いながら砂浜に座る二人の男が居たそうな。
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