着信拒否しますよ?(黒ルビー&ゴールド)


ピリリリリリッ

突然、ボクのポケギアが鳴った。
誰だろう…?

ピリリリリリッ

ピッ

「はぃ、もしもし…」
「よぉ、オシャレ小僧!!久しぶりだな!!」

この無駄にデカい声は…

「ゴールド先輩ですか?」
「おぅ、そうだ!!」
「どうしたんです、急に電話してきて…。返答しだいでは、貴方からの電話を着拒にしますよ?」
「まぁそう毒吐くなよ。お前に用があって電話してんだからさ。ってか、俺一応先輩だぜ?分かってる??」
「ハイハイ分かってますー。で、用件は何なんですか?」

とりあえず、本題に移ろう。
ポケギアの充電が切れて、サファイアと電話できなくなったら嫌だし。
まぁ、その時は会いに行くからいいんだけど。

「ちょっとさ、今から会えねぇ?」
「今からですか?」
「あぁ。俺さ、今フエンタウンにいるんだよね。フエンせんべいの味が忘れられなくってさぁ…」

話が逸れ出した。

「で、何処に行けばいいんですか?」

溜め息をつきながらボクは聞いた。

「んー…キンセツとかどうだ?」
「いいですよ。確かそこに小さい喫茶店がありましたから、そこで落ち合いませんか?」
「分かった。じゃあ、また後でなぁ〜!!」

そう言うや否や、ゴールド先輩はすぐに電話を切った。

「さてと…」
ボクは着替えを済ませ、ランニングシューズを履き、家を出た。









****************************


カランカラン…

「いらっしゃいませ…」
薄暗い店舗の中、蝶ネクタイをした品のある爺さんが、カウンターでコップを拭きながら言った。


「ゴールド先輩、こっちですよ」

ボクはゴールド先輩を、奥のテーブル席から呼んだ。

「わりぃわりぃ」
「遅い。ボクを待たせるなんていい度胸してますね」
「まぁ…よくあるこった、気にすんな!」

そう言って、ゴールド先輩は席に着く。


「ご注文はいかがいたしましょう?」
「ボクはアイスコーヒーで」
「俺は…カプチーノ」
「かしこまりました」

お爺さんが去った後、ボクは本題に入った。

「…で、用件は何ですか?」
「あぁ、ちょっと聞いてみたいコトがあってな」
「聞いてみたいコト?」

何だろう…?

「…お待たせ致しました」

「あ、ありがとうございます」
「ありがとうッス」
「では…」
お爺さんはお辞儀をして、カウンターに戻って行った。


「聞いてみたいコトって?」ボクはアイスコーヒーを飲みながら聞いた。

「もし、もしもだぞ」

ずぃっと真剣な顔を近づけながら、ゴールド先輩は言った。

「野生児ギャルが、他の奴と付き合ってたらどうする??」

「は…?」
くだらない…。
先輩はこんな質問をする為だけにボクを呼び出したのか…?

「どうするよ?」
「どうするって言われても…。愚問ですね」
「いいから答えろって」
「はぁ…」

そうですね…と少し考えて、ボクは答えた。

「とりあえず、その相手を死なない程度に痛めつけますね。まぁ、サファイアがボク以外と付き合うなんて考えられませんけれど」
「たとえそれがサファイアの浮気だったとしても?」
「えぇ。ただ、その場合はサファイアにもお仕置きしますが」
ボクはニッコリと笑いながら言った。

「あ、でもそれ以前に、サファイアに寄る悪い虫は全てボクが排除してますから」

「お前…今まで何人…?」
先輩は冷や汗をたらしながら聞いてきた。
ナルホド、少しは話が分かるじゃないですか…。

「さぁ…?何人だと思います?」
そう言いながら、ボクはアイスコーヒーを飲み干す。「10人…とかか?」
「少ないですね」
「Σこれで少ねぇのかよ!!」
先輩は、信じられないという顔でボクを見ている。

「なぁ…その悪い虫ってのはもしかして…」
「もちろん、バトルを申し込もうとした野郎共も含みますよ」
「うわぁ…」
「ぶっちゃけ、その輩達をいっそ、深さが10920mもあるマリアナ海溝チャレンジャー海淵に沈めてやりたいくらいなんですけどね」

ボクは想像しただけでも楽しくなってしまい、ふふっと思わず笑ってしまった。

「お前…怖すぎ」
カプチーノを飲みながら、先輩がボソッと呟いた。


そうだ、そういえば…

「先輩、ボクも聞きたいコトがあったんですよ。今思い出しました」
「んぁ、何だ?」

「先輩、先週サファイアに電話しました?」

ビクッと先輩の肩が揺れた。カップを持つ手が震えている。

「なななな何のことだぃ、ルビー君…」

先輩の目が、完璧に泳ぎまくっている。

「その時に、バトルの申し込み…しませんでしたか?」

先輩の顔が青ざめている。
面白い…。

「ぇと…あの…」
「しましたよね??」


「…はぃ」
今では全身をガタガタと震わせている先輩を見て、吹き出しそうになるのを堪えながらボクは続ける。

「今回は見逃してあげますよ。ボクがサファイアの代わりにバトルをするという条件でね。ただし…」
「ひぃ…っ!!」
最高級の笑みを浮かべながら、付け加えた。

「次誘うようなことがあれば、-71.2℃という世界最低気温を記録した、ロシアのオイミャコンという街に、裸で埋めますからね」
「は…はぃっ…!!」

あー、楽しかった。

「じゃあ、ボク帰りますね。お勘定よろしくお願いします。さようなら」
「ぇ…っ!?ちょっと!?」

先輩が後ろで何か色々と言っていたが、全て無視した。

ボクは、カウンターにいるお爺さんにごちそうさまでした、と言って外に出た。


先輩を弄るのは、とても楽しかった。



ランニングシューズで走りながら、ボクはふと思いつく。









そっか、サファイアのポケギアで、ゴールド先輩の番号を着拒すればいいんだ…。


ミシロに帰ったら、早速拒否登録をしよう。















その後、ゴールド先輩からの連絡がいつまでたっても来ないと愚痴るサファイアを、ボクは電話で宥めるのだった。





*****あとがき***************

なんかもう…ホントごめんなさい^^;
病み上がりで頭がぼーっとなってる状態で書いたらこうなりました…(・_・;)
ホントに申し訳ありませんっ!!(土下座)

 










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