ジャイアントホールにて…


これは、マッちゃん、リラがまだ100レベになる前のお話…。









「ん〜っ!…何度来てものどかな場所だなぁ…」

俺はベンチに座って伸びをして、先程買ったサイコソーダを飲みながら呟いた。

「トウヤ、トウヤ!あたしにもちょうだいっ!!」
「あの…私にも…」
マッちゃんとリラが言った。
今、彼女達をボールの外に出しているため、マッちゃんは俺の膝の上まで上がりキラキラした目で俺を見上げ、リラは周りをクルクルと舞っている。

「ちゃんと君達の分も買ってあるから、ほら」
そう言って、俺はマッちゃん用にお皿を、リラにはストロー付きのボトルを鞄から取り出し、ミックスオレを入れてやる。

「やったぁ〜!!ミックスオレだぁっ!!トウヤ大好きっ!!」
そう言い終わるや否や、マッちゃんはお皿に注いだミックスオレを物凄い勢いでペロペロと飲み始める。
「ありがとうございます」
リラは俺からボトルを受け取ると、美味しそうに飲み始めた。



俺達は今、カゴメタウンにいる。
この町はとてものどかで、けれどもどこか不思議な雰囲気があって…。俺達はこの町をとても気に入っていて、頻繁に来ている。

「トウヤー、ごちそうさまでしたっ♪」
マッちゃんは口元をペロリと舐めながら言った。
「私も…ごちそうさまでした」
リラは飲み終わって空になったボトルを俺に渡しながら言った。

「おぅ、またあげるな♪」

立ち上がりながら、二匹の頭を撫でる。
「もふっ♪」「ぐるる〜♪」と二匹は気持ちよさそうに鳴いた。

近くにある階段を上り、空き缶と瓶を捨てる。

「よっし!いっちょレベル上げでもするか!」
「お〜っ!!」
「はいっ!」



****************************


「トウヤ〜?」
「何、マッちゃん?」
ジャイアントホールの洞窟を歩いていると、マッちゃんが話しかけてきた。
「こんなの見つけたからあげるねぇ♪」
そう言って口に加えていた物を、俺の手の平に落とす。
「月の石?」
「うん♪」
また月の石か…。これで何個目だろう…。
「あ…ありがとう」
「うんっ!」
元気に返事をすると、マッちゃんはまた辺りに何かないか、キョロキョロと探し始めた。

リラは俺の後ろでパタパタと付いて来ていた。

「出口に行くよ、マッちゃん」
「はぁ〜い!」


サァ…ッ

外に出ると、奥から吹いてきた冷たい風が、俺の髪や、リラ、マッちゃんの美しい毛を撫でた。
「相変わらず冷たい風が吹いてるな…」
俺がキュレムをゲットしても、全く変わらない空間。

キュレムは悪い奴じゃない。



キュレムと戦っている時、そう思った。

初めてキュレムと会った時、奴は敵意に満ちた目で俺を見下ろしながら、こう言った。

「お前も…、私に害を与えに来たのか…?」
最初、何の事だかよく分からなかったが、あぁ、カゴメタウンの住民の仕業だな、とすぐに判断した。


「害…?カゴメタウンの住民の事か…?俺はカゴメタウンの住民じゃねぇし、お前に危害を加えようなんか思ってここに来ちゃいねぇ。俺はお前に興味があって会いに来たんだ。」
「興味…?」
「あぁ。なぁ、俺と一緒に旅しないか?」
「仲間になれ、と言うのか?」
「まぁ、そんなところだな」
「ならば、力ずくで私を仲間にしてみろ!!」

そう叫び、キュレムは凄まじい冷気と共に俺達に襲い掛かってきた。

「ゆけっ、リラ!」
「はぃ!」

ブワッ!!っと、キュレムの放った"こごえるせかい"がリラに命中する。
「私に氷など…!」
素早さは下がったが、リラにはたいして効いていなかった。
「リラ、"ねっぷう"!」
ゴォォッ!!と、今度は熱気がキュレムを包み込む。
「ぐぁっ!」
氷タイプも混じっているため、キュレムにはかなりダメージを与えられた。さらに、火傷まで負わせることに成功。

「よし、リラ、交代だ」
「はい!」

俺はリラを戻し、代わりにレオンを繰り出す。

「頼むぞ、レオン!」
「了解〜♪」

「く…っ!」
キュオオンッという音がした。
どうやら、キュレムは"ふういん"を使ったらしい。
しかし、レオンにはキュレムが使う技など覚えてはいなかった。
火傷のダメージもあり、キュレムの体力はどんどん奪われていく。

「レオン、"いやしのはどう"!!」
「ラジャー♪」

ほわぁ…っと心地良い波動が辺りを満たした。

「な…何故!?」
キュレムは驚いた目でこちらを見る。

「何故回復させたかって?決まってんじゃん!新しく仲間になるお前を、あんまり痛め付けたくねぇの!」
「…」
キュレムの動きが、止まった。

今しかない、そう判断して鞄から種類を見ずにボールを投げた。
「いっけぇぇぇっ!!!!」

ビュンッ!と猛スピードで飛んだボールは、キュレムにパンッと当たって開き、キュレムを取り込む。
緊張の一瞬。
コンッコンコン…

カタッ…カタッ…カタッ…
パチンッ


「や…やったぁ!!」

俺は、リラ達と喜び、抱き合った。
そして、
「出ておいで、キュレム」
ボムッ!と音がして、キュレムが出てきた。
「とりあえず、かいふくのくすりを使いたいから、こっちに来なよ」
「…」
無言だったが、キュレムは素直に従う。
傷と、火傷が消えていく。
「なぜ・・・?」
「なぜって・・・。カゴメタウンの人達が、お前のことを『人間を食べる』ポケモンって誤解してるだろ?だからまず、皆の誤解を解きたくってさ。」
「私の、為に・・・?」
「もちろん!それにお前、俺と同じ"がんばりや"だしな♪」
俺がにかっと笑いかけると、キュレムは少し驚いたようだったが、俺が薬を吹きつけ終わるまで、目を閉じてその巨体を横たえた。
そして、
「・・・ありがとう」
キュレムは俺にそう言った。

















「…トウヤ?さっきからずっと黙ってどうかした??」
はっとして足元を見れば、マッちゃんが心配そうに俺を見上げていた。
リラも心配そうに、俺の周りをぐるぐると飛んでいた。

「なんでもないよ。ちょっと思い出に浸ってただけだから。さぁて、今日はダブルバトルを中心にやっていくよ!準備はいい??」
「もっちろん!今日"も"ダブルバトル頑張るぞっ!ね、リラ姉?」
「えぇ、頑張ろうね、マッちゃん♪」

そして、俺達は色の濃い草むらを歩いた。


ガサガサッ

「!!」
「野生のピッピとルナトーンだ!ゆけっ!マッちゃん、リラ!!」
マッちゃんとリラは左右にスタンバイした。
「先制攻撃はあたしに任せて、リラ姉!」
「分かったわ、援護する!」

「ボクらだって負けないもん!ねぇ、ルート?」
「…そうだね、ピッチ…」
ルートと呼ばれたルナトーンに、ピッチと呼ばれたピッピ。

そう簡単に、俺等が倒されるかよ。

「マッちゃん、ピッピに"ほしがる"!リラはルナトーンに"むしのさざめき"!!」
マッちゃんは物凄いスピードでピッチに近づくと、ウルウルとした目でピッピに上目遣いをした。
すると、ピッピはデレデレと鼻の下を伸ばしながら持っていたヒメリの実をマッちゃんに差し出した。
その途端、マッちゃんはピッチの手からヒメリの実を奪い取り、ドカッと思いっきり体当たりを喰らわせた。
ピッチの身体は宙を舞い、ドサッと地面に落ちて動かなくなった。
「ルート…、あとはたのんだy…」
遺言かよ…
「…ピッチ!!」
「余所見している暇なんて、ないですよ…?」
ルートがピッチに気を取られている間に、リラはルートの後ろを取っていた。
「!!」
ルートが振り返ろうとした瞬間、

びぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!

リラの攻撃がキマッた。
"ふゆう"で浮いていたルートの身体は、ズゥゥゥンッと地響きと砂埃を立てて地面に落ちる。

「ふぅっ、"収穫"完了っと♪」
マッちゃんが、ヒメリの実を俺に渡しながら言った。
「ふふ、"収穫"だなんて上手いコトを言うね。リラ、苦手な岩タイプによく突っ込んでくれたね、ありがとう」
「いえ、ルナトーンは岩・エスパーですので…。先制攻撃さえできれば、どちらが勝つかなんて見えてますわ、ふふふ…」

気のせいか(否、気のせいではない)、普段控え目な彼女は、戦闘になると…特にマッちゃんと組むと性格がガラリと変わるのだ。そう、ドS気質になる。

マッちゃんの素早さを活かして、先制攻撃で相手の持ち物を奪い、その後すぐにリラが特攻の強さを活かして"ねっぷう"で二体に同時攻撃をして、相手を一気に戦闘不能にする…。

まぁ、俺が考えついた戦闘スタイルなんだけどね…。

いつだったか、トウコに会った時にこの事を話すと、
「トウヤ…あんたドSだね…。つーか、寧ろ鬼畜だわ…」
と言われた。
まぁ、自分でもドSだとは薄々気づいていたしね…。

「さてと…。リラ、マッちゃん、お疲れ様。今日はここら辺でレポートでも書こうかなっ♪」


〜レポート〜

・マッちゃん、リラと共にカゴメタウンからスタート!
・ジャイアントホール(洞窟内)で、マッちゃんが月の石を拾った。いつものオジサンに高値で買い取ってもらおう。
・ジャイアントホールで、キュレムとの戦闘を長々と回想する。
・野生のピッピ、ルナトーンと戦闘。
・ピッピからヒメリの実を"収穫"した。
・俺の手持ちはドSで占められていると気付いた。
・次は何処に行こう?



「よし、完了っと♪」


















**************************************
あとがき…

どうも、白うさぎです。
もう…初っ端から訳分からんことになってましたね…。すみません^^;
キュレムとの回想長すぎだし!!
なんというか、キュレムは人間(特に、カゴメタウンの住民)に恐れられて(嫌われて?)いて、人間の暖かい心に触れたコトが無かったんじゃないかなぁと思いました。
だから、トウヤがレオンに"いやしのはどう"を指示した時は、とても驚いたんだと思います。(なんか、また語ってしまったな…^^;)
キュレムの話はまた追い追い書いていく予定です。

最後まで読んで下さった方、ありがとうございましたっ!!(土下座)


さてさて、ポケモンを何処で鍛えるかって?
もちろん、ジャイアントホールに決まってんじゃないッスか♪
色々と道具を持っているポケモンが多いですからね…フフフッ♪
そんなコトを考えながら、書きました。
書いてることは実際ゲームの中でやってます。
ピッピやルナトーン、ソルロックにニューラにルージュラ…。
彼等はマッちゃんに、一体どれ程貢いだのでしょうか…。
そして、道具を奪われショックを受けているところに、更に追い討ちをかけるようにしてリラの"ねっぷう"や"むしのさざめき"等がヒットし…
哀れですね(笑)←オィ
まぁ、とりあえずマッちゃんとリラのタッグは"最凶"ということで。

こんな感じでぐだぐだ書いていきますので、まだ白うさぎワールドを見たい!という方は、この章の次の作品にて、またお会いしましょう!
ありがとうございました!!




















 










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