右肩より、みどりの知らせ(セブリリ)


「セブなんて大っ嫌い!!」
「僕だってリリーなんか大っ嫌いだ!!」


午前9時、春の暖かなそよ風がそよぐ頃。
黒髪の男の子と赤髪の女の子が、お互いを嫌い嫌いと言い合っています。
にも関わらず、二人の表情は嬉しそう。
とうとう、赤髪の女の子の方が声を上げて笑い始めました。

「あははははっ、セブ、素直じゃ無いのね」
「だって…!!」

恥ずかしいじゃないか、と黒髪の男の子は顔を赤らめ、俯きながら呟きました。

そうです、今日は4月1日、エイプリルフールです。

普段「好き」と恥ずかしくて言えない彼は今日、天の邪鬼を利用して気持ちを伝えているようです。
そして女の子も、ありったけの想いを込めて「大っ嫌い」を連発していました。
ただ、男の子と女の子の「大っ嫌い」は、少し意味合いが違うようですが。


「ふふ、天の邪鬼なセブも、大っ嫌い!!だって、大切な親友じゃないもの!!」

ああ、女の子は「大切な親友」として「大っ嫌い」なんですね。

「リリーは大切な人なんかじゃない!!」

ほらやっぱり、彼は彼女に恋しているようです。


その後も二人は一頻り言い合っていましたが、それは午前10時を告げる鐘によって終わりました。



女の子は、頬がりんごのように赤くなってしまった男の子の右手を優しく握りました。


「ねぇ、これから街にあるジェラート屋さんに行きましょう?私、なんだか暑くなっちゃった」
「うん、リリーが行きたいのなら」
「決まりね!!」


何味にしようかしら、パインなんて美味しそうだわ、ああ、ストロベリーもいいわね…じゃあ、僕がパインを頼むからリリーはストロベリーを頼むといい、僕の分をあげるよ…
なんて言葉を交わしながら、二人は手を繋いで歩き始めました。


ジェラート屋さんに着くまで、その手が離れる事はありませんでした。






右肩より、みどりの知らせ
(嗚呼、今日はジェラートが溶けちゃいそうな程暖かいですね)









 










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