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第十四夜





「十六夜様、お手紙が届いておりましたよ」



メイドにお礼を言って珱はベッドに潜り込みながら封を切った。内容は「連続殺人鬼〈レベル:E〉を狩ってきてほしい」だった。

数時間程眠った珱は私服に着替え刀を手に寮を後にする。



『…確かこの辺りに』



資料の情報で十代の女子ばかりを狙う吸血鬼は、まだレベル:Eに堕ちて日が浅いという。今まで4人襲われたが、その近辺に潜んでいるだろうとねらいを付けて来た。

廃屋まで来て珱は目の端に過ぎ去った人影に振り向いた。



『見つけた』



ジャキ、と刀を追っていた吸血鬼の首にそえる。



「おやぁ…こんなところにまでお仲間さんがぁ?」

『…鬼ごっこはお終いだよ』



ニヤリと笑っていた吸血鬼の首を落とそうとすれば、いきなり今まで無抵抗だった相手がドンッと突き飛ばした。



『!』



突然の事に珱は反応しきれず、背後にあった抜け落ちた地面から落下して背中を打ちつける。



『く…!』



そこに吸血鬼が降ってきて慌てて刀と足で防ぐが、馬乗りになって抑え込んでくる相手に若干珱が押され気味だ。



「さっきはハンターさんでデザートを食べ損ねたんだ…キミに代わりになってもらわないと」



眉根を寄せて珱が睨みあげていた時、銃声が響いた。



『!?』

「くだらない鬼ごっこもやっと終わりか…」



珱の上から飛び退いた吸血鬼に上から降ってきた者は飛び乗ると、その吸血鬼の側頭部に銃口を突きつけた。



「汚れた手で…そいつにさわるな…」

『…錐生くん…』



目を丸くして呆気にとられたように珱が零を見ていると、上の方で誰かが走ってくるのが聞こえた。



「十六夜センパイ…!」



見上げれば優姫がやっぱりというように見下ろしており、次に零に顔を向けると驚いたようにぎょっとして飛び降りてきた。



「零どうしてっ…」

「優姫!」



止めるように零が名前を呼び視線を向けた。



「止めるのは許さない…指令が下ったんだ」



懐から零は一枚の紙を取り出した。



「吸血行為目的の連続殺人の罪で、粛正する」

「……あーあ…捕まっちゃったなあ…」



じっと見ていた珱は刀を仕舞う。



「でもこれでもう人を殺さないですむか…」



そう呟いた吸血鬼に、零は何とも言えない表情で一拍見つめ、引き金を引いた。



「………」



灰となった吸血鬼をじっと見つめる零を優姫、珱はじっと見つめていた。



「あれ…やっぱり珱も来てたんだ」

『莉磨』



あ、と見上げると莉磨が見下ろしており、隣に女の子を肩に担いだ支葵がいた。



「ちょっとー風紀委員。そこで女の子拾ったんだけどどうする?生きてるけどーーーー」



莉磨の言葉に零は見上げ、そんな零にそっと優姫が手をふれた。



「よかったね…零。あのこ無事だって……」



安心させるように笑いかけた優姫はあっと珱を見た。



「十六夜センパイ、大丈夫…ですか?」

『…うん』



立ち上がり服について埃をはたき落とし、零に視線を向けた。



『…助けてくれてありがとう…錐生くん…』



言って珱はスト、と上に着地した。



「この前の借りを返しただけだ…」

『…それでも、ありがとう』



下から見上げながら言った零にそう返して、珱は歩き出した。少しだけ笑った珱に、零は以前枢とした会話を思い出す。

“君は吸血鬼を嫌っているんだよね…なら、どうして珱の姿を目で追っているのかな…”

不愉快そうに目を細めて言った枢の言葉に、零は何も返せなかった。



「珱、どうせならこのまま現場に来てよ」

『ん』



二人とその場を後にする珱は、先程の零の言葉で昔をまた思い出し、自嘲気味にため息していた。



next.

  



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