夏真っ盛りの朝、登校中だった夏目は暑いだろう中、これまた熱いだろう地面に突っ伏す雪野とカッパを見つけた。
「…………雪野?」
『ぅ……』
ほんの少し、反応した雪野の指先が動き夏目はほっとする。
「お前、何してるんだ?確か美化委員の朝掃除に行ったんじゃ…?」
『それが…カッパに水を求められて…』
「(うっわ青白ッ)」
顔を上げた雪野の顔はげっそりと青白く思わず引いてしまった夏目は、ため息を吐いてペットボトルの蓋を開けた。
「遅刻だな…」
呟きながら、カッパに水をかけてやる。
「ほら」
中身がなくなったところで、夏目はへたり込んでいる雪野に背中を向けて屈む。
「保健室まで背負うよ。歩けないだろ?」
『…うん。ごめんね、ありがとう』
「よ……じゃあな」
雪野を背中に背負った夏目は、カッパに別れを告げ歩き出した。
「…む?」
時間差で起きたカッパの更に後方で、ひっそりとその様子を見つめる人影があった。
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