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『ただいまー…』



帰ってきた雪野は、普段よりも多い靴の数に目を瞬かす。



「おかえりなさい雪野ちゃん。西村くんと北本くんが来てるのよ」

『だから靴が多いんですね』



なるほどと納得して雪野は靴を脱ぐ。



「ふふ。川に落ちちゃったんだって。男の子はやっぱりワンパクね」



クスクスと朗らかに笑う塔子に雪野もですね。と同意しつつ笑う。



「あ。おかえり鈴木!」

「邪魔してます」

「おかえり」

『うん。ただいま』



風呂上がりらしい三人はシチューを食べつつ、雪野に挨拶する。



「…本当に同棲してんだな、お前ら」

「『ぶっ』」

「西村…」



西村の羨むような呟きに思わず夏目と雪野は噴き出し、北本は呆れた目を向けた。



「「じゃーなー」」



夏目の着替えを借りて、手を振り帰る二人を夏目と雪野は見送った。



「遅かったね雪野」



部屋へと戻った雪野は堂々と居座っていた先客に一時停止。



『ヒノエ!?どうしたの突然…』

「遊びに来たのさ」

『ちょうど良かった。先生がね、ちょっと負傷してて…』

「けが?用心棒のくせにあの猫ダルマは」

『色々あったんだよ。獣医には見せられない生物だから、ヒノエ見てくれない?』

「仕方ないねえ」



部屋を出て、夏目の部屋の襖を声をかけて開ける。



『貴志くーん、開けるよ。ヒノエが来てくれたから…』

「雪野…」



ーーーーかんっ.



「あっ」



夏目が振り向くより先にさっさと部屋の中に入っていたヒノエが、小石を外へと蹴り飛ばした。



「何だい、あの石っころ。相変わらず変な妖に目をつけられやすいねぇ夏目」

「ヒ、ヒノエ…」

「どれ。猫ダルマをかしてみな」



煙を燻らせ、ヒノエは眠っている斑を夏目から受け取る。



「ふむ…妖祓いの矢が当たったのか…でもこれなら二、三日ですぐなおるさ」

「ーーーーよかった…ありがとう」

『ありがとうヒノエ』



ほっ…と夏目と雪野は安堵する。



「ーーーーさて」



わくわくとした笑顔を浮かべたヒノエが雪野にじわりじわりと近づく。



「お医者代をもらわないとねぇ」

『…完治したら、何か考えるよ』



これがなければいい奴なんだけどな。声には出さず、残念そうに夏目と雪野は心の中で呟いた。



「とりあえず遊ばせてもらおうか」

「ああやめろケガ猫に…」



筆で斑の顔に落書きするヒノエをやんわり止める。



「夏目様〜」

「鈴木様ー」



ん?と窓の外を見る。



「ブサネコ…斑様がおケガだと聞き、お見舞いに参りました〜」

「え」



中級二匹がやって来た。



「斑殿の結界がいつも以上にザルになっているのであります」

「わっ、ちょび。いつの間に」



いつの間にか、ちょびひげが部屋の中に。



「今夜は我らが飲んで騒いでお守り致します」

「おーーーーっ」

「何!?あ、ありがたいが騒ぐのはよせ…」



なんて、注意したって聞く耳もつはずもなく。



「こらーさわぐなー!!」



どんちゃん騒ぎを始めた中級達。混ざらず静かに盃を傾けていたヒノエは、嫌な気配を感じ取り窓の外を見た。



「…しかし、さっきの石、嫌な感じだったね」



え、と夏目はヒノエを見る。



「暫く気をつけたほうがいいかもしれないよ、夏目」





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