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Episode.3【女郎執事】





「本日のアフタヌーンティーは、カングラバレーのグリーンティーとルーズベリーとエルダンフラワーのゼリーをご用意致しました」



スプーンですくって一口食べる。



「まあまあだな」

「ご満足頂けましたか」

『及第点ね』

「では、食後にお仕事を」



なに?と見上げた二人の前に、セバスチャンは手紙を差し出した。



「人体発火事件、ですか」



紅茶を注ぎながらセバスチャンが今聞いた話題を呟く。



「ロンドンで頻発しているあの事件ですね?昨夜も犠牲者が出たとか」

「ああ。市民が恐怖に震える夜を過ごしていることを、女王陛下は嘆いておられる」

『…?』

「如何なさいました?」



訝しそうに手紙を見つめたダリアにセバスチャンが声をかけると、ダリアはセバスチャンに手紙を差し出した。受け取りセバスチャンも手紙に目を通す。



「……忌まわしき事件の再来に、此度もまた、犬と蜘蛛に最良を託すと言う」



「どういう事でしょう」とセバスチャンは二人を見る。



『過去に同じように事件があったと言うこと?』

「それに、この蜘蛛とは」

「わからない。いや、僕は知らないと言うべきだな」

『左に同じね』



そう言って紅茶を飲む二人をじっと見ていたセバスチャン。



「考えても仕方ない。女王の憂いを晴らす、それが最優先事項だ」

『ロンドンに発つわよ』

「かしこまりました」

「それから、マダム・レッドには僕達の動きを悟られないようにしろ。あの人が好きそうな事件だ」

『何言ってるのよシエル。マダム・レッドは…』



マダム・レッドは…と口ごもったダリアを、シエルは不思議そうに見る。



「マダム・レッドがどうかしたか?」

『…何でもない。なんか、引っかかりを覚えただけよ…そうね、首を突っ込まれても困るし』



そんな会話をしながら部屋を去る二人に、セバスチャンはクスと笑った。



「そちらは問題ないかと」





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