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「うわーーーー!ケンカだー!!」

「青田坊と達磨様が…ワシらどうしたらいいんじゃー!?」

『ちょっと、青田坊も達磨様もおちついて…!』



ーーーードンッ.



『いった…!』



止めようとした水妖だったが突き飛ばされてしまい尻餅をつく。その拍子に肘を怪我して血が流れる。

ハッとそれを見たリクオは鋭い視線を二人へと向けた。



「や…やめねぇか!!」



いきなりのリクオの怒声に騒がしかった場が静まった。



「時間がねぇんだよ。おめーのわかんねー理屈なんかききたくないんだよ!!木魚達磨」

「?」



生まれてこの方こんな口調のリクオなんて見たことない。呆然と座り込んでいた水妖のもとへと、リクオは歩み寄った。



『え…若…?』

「大丈夫か水妖」

『は、はい』



本当にあのリクオなのかと、信じられない面持ちで水妖はリクオを見つめる。



「なぁ…みんな…」

「若…?」

「若の姿が……?」

「お…おい…アレ」



髪がのびているのもそうだが、何より、纏う雰囲気が別物だ。



「オレが人間だから≠セめだというのなら」



ーーーー!?ーーーー



「妖怪ならば、オマエらを率いていいんだな!?だったら…人間なんてやめてやる!」

「え……(なんだ…!?これは…この目…さっきまでとは別人)」



リクオの姿に木魚達磨は動揺するしかない。さっきまでの威勢は消えていた。



「ほら」

『あ…ありがとうございます』



水妖はハッと差し出されたリクオの手をとり立ち上がる。ちらりと思わず疑わしげな目を向けた。



『リクオ様…なんですよね?』



恐る恐る尋ねた水妖に向かってふっとリクオは笑うと、水妖の腕を自身に近づけペロッと血が滲んでいる肘を舐めた。

ギョッとした水妖の頬が瞬時に赤くなった。



『リ…リクオ様ぁ!?』

「いくぞ水妖。おめーらついてきな」



リクオは何事も無かったかのように背を向けると周囲を取り囲む妖怪たちに言う。

ハッと木魚達磨が我にかえった。



「若!?待ちなされ!!」



しかし、本家の者達はやる気がでていて聞こえていない。

そこへ首無がやってきた。



「木魚達磨殿……」

「今はとりこみ中じゃ!!後にしろ」



怯まず首無は頭を木魚達磨の耳元に移動させて続ける。



「リクオ様が乗るはずだったバスが事故にあったということは、誰かに狙われたのかも…刺客か…もしくは…」



まさか…という感じに固まった木魚達磨。



「若!!ワシら本家はみんなついていきますぞ!!」

「この黒田坊元よりそのつもりよ!!」



ワイワイとしている中、水妖は赤くなった頬を冷やしつつ肘の血を能力で現した水で洗い流す。



「水妖」

『?はい』



ぬらりひょんはコタツに入ったままちょいちょいと手招きをすると、近寄った水妖に向かってひょいっと何かを投げた。



『え?え゛!?』



ギョッとしながらも反射的に手に取ったのは刀。それに更にぎょっとなる。



『危ないでしょう!!』

「ちゃんと鞘に入れとるんだから大丈夫じゃろ。それ持って行っとけ」

『?はぁ…』



すかさず抗議してもそれは軽くあしらわれ、言われるがままとりあえず刀を持って行く水妖だった。

そうして出発した本家一同――――――。



「今夜は何だか…血が…あついなぁ…」



不意に呟いたリクオ。



「リクオ様、言ったでしょう。それが妖怪の血です」

「血…?」

『おじいさまの血ですよ、リクオ様』



ニコ、と水妖は笑う。



『リクオ様は、私達を率いてもいいのです』



ーーーーだって。



『あなたは総大将、ぬらりひょん様の血を、四分の一も継いでいるのですから!!』







「いやーーーー孝広ーーーー」

「近寄らないで下さい!二次崩落の危険があります!!」



事故現場には沢山の警官と消防隊、事故にあった者の身内らしき人たちが集まっていた。



「おかしいわよー!!こんなとこ…崩れるようなとこじゃないわ〜〜。何かの間違いよ〜〜〜〜。息子を助けてあげてー。救助隊はどうしたのよーーーー」

「ママ…あれ…何?」



子供が指さした先には、小鬼と納豆小僧という妖怪が石をせっせかどかしていた。



「おーい。もっとこっち人員よこせ」

「こっち薄そーよ」



一気にその場は凍り付いた。

一方その頃、閉じ込められたトンネル内は。

―――カチッ.



「いたいよー」

「お母さ〜ん」

「大丈夫みんな…しっかりして」



怪我をしてしまった子供たちの中、幸い怪我をしなかったカナとそのクラスメートの独特の髪型をした清継と島。



「キャッ!!」

「い、家長くん!?ビックリするじゃあないか…」



急に声を出したカナに驚く清継。



「だ…だって…そこに…人が…並んでたから…」

「人?」



カナの言葉に懐中電灯を持っていた島がそこを照らした。その言葉通り、そこには確かに並んでいたが人と言えるかどうか…いや、見た感じは人に見えることもないわけでは無いが…。



「な…なんか…アレ何………?」

「え…さ、さあねぇ…」






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