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事件は悪い奴が起こすんじゃないはしゃぎすぎた奴が起こすんだ




「よっちゃんも誘っていこーぜ、フフフ!!」


川原から橋を見上げれば、子供達が無邪気に祭りへと走っていっていた。いーな、私も行きたい。りんご飴食いたい。


「この甘ったりィ匂いは…綿菓子だ。綿菓子の匂いがする、綿菓子だよオイ!綿菓子ィィィ!!」


アホみたいに叫びながら走り出した銀ちゃんの頭にジーさんが投げたスパナが命中。


「仕事ほったらかしてどこへ行く!?遊んでねーで仕事しろ仕事!ったく、もう時間ねーんだからよォ」
『だけどさ、もう祭り始まっちゃったけど?』
「僕ら手伝いにきたけどもうコレ間に合わないんじゃ…」
「カラクリ芸を将軍に披露するのは夜からよ。夕方までにどーにかすりゃなんとかなる。大体片付いたしな」
「しらばっくれるんじゃないわよ!!」
「!?」


神楽?


「アナタ私が何も知らないと思ってんの!?コレ、Yシャツに口紅がベットリ!もうごまかせないわよ!」
《御意》
「御意、御意っていっつもアナタそれじゃない!そんなんだから部下にナメられるの!たまにはNOと言ってみなさいよこの万年係長が!!」


ちょちょちょ神楽ァ!?


「あ゛ーもうドメスティックバイオレンスぅぅ!!」
「ギャアアアアアア何してんだァァ!!やめろォォォ!!」


せっかく直した三郎を持ち上げ今にもぶっ壊しそうな神楽に、私らは慌てて止めに入る。


「相手は誰よ!?さち子ね!新築祝いの時に来てたあのブサイクな部下!」
「止めろって!なんてドロドロなままごとやってんだ!!」
「アナタにとってはままごとでも、私にとっては世界の全てだった!」
『お前年いくつゥ!?』


どんだけ鬼気迫ったままごとしてんのさ!リアリティありすぎだろ!
間に合うか危うかったけど、夕暮れ時、どーにか全てのカラクリ修理が終了。


「なんとか間に合いましたね。まァところどころ問題はあるけど」
「ケッ…もともとてめーらが来なきゃこんな手間はかからなかったんだよ。余計なことばかりしやがってこのスットコドッコイが」


んだとジジー。


「公害ジジーが偉そーなこといってんじゃねー!俺達ゃババーに言われて仕方なく来てやったん…」


ーーーーじゃらん.


「!」


金?銀ちゃんへと投げつけた袋には金が入っていた。


「最後のメンテナンスがあんだよ。邪魔だから祭りでもどこでもいってこい」


その台詞に銀ちゃん以外の私らは笑顔をこぼす。


「ありがとう平賀サン!!」
「銀ちゃん早く早く!!」
『りんご飴ー!!』


私らは駆け出すとまっすぐに祭りの会場へと向かった。お金は奪い合いになったけど流石新八というか、綺麗に四等分して持たせやがった。あいつは母親か。


『焼きトウモロコシにわたあめにカキ氷に焼き鳥に…』


イカ焼きと目当てのりんご飴をさっさと購入して次は何を買うかと賑わう屋台を眺める。食べ物は完全制覇だな。

ーーーードン.


『ん?花火…』


大きな音と一瞬色とりどりに明るくなった辺りに夜空を見上げると、花火が打ち上がっていた。ジーさんの見せものが始まったな。にしてもよかったよ切腹になんなくて。


「あははは、待ってよよっちゃん!」
『いって』
「いたっ」


べしゃり。前方から走ってきたクソガキがよそ向いてたせいでぶつかってきた。その反動で手の中にあったりんご飴が地面に落下。


「よっちゃん大丈夫!?」
「いてーな!突っ立ってんなよな!」
『あ゛?』
「「申し訳ございませんでしたァ!!」」


直角に頭を下げたよっちゃんどもの襟首を掴んで屋台へ向かうと突き出した。


「「りんご飴10個下さい」」
「おい架珠、幼気な子供をたかるな」
『たかってねェよ。弁償させてんだよこれは』
「「りんご飴10個下さい」」
「おいガキ共泣いてるのは俺の気のせいか?」
『いいから早くりんご飴10個やれよハゲ』
「「りんご飴10個下さい」」
「もう可哀想なんだけど!許してやれよ!それからまだハゲてねーよトンカチでその頭カチ割るぞ!」
『どっからどー見ても手遅れのハゲだろさっさとりんご飴…!!』


よこせ、と叫ぼうとしたが、広場の方から悲鳴が聞こえてきた。なにごと?顔を向けると周りの奴らも不思議そうに狼狽えている。


「なんだァ?」
『さあ…あ!テメェガキ共待ちやがれェェ!!』


隙をつかれて逃げられた!てか必死に逃げすぎだろ!追いかけようとしたが、何やら広場でただならぬ事が起きたようだ。


『…え、何があったのさ?』


一斉に祭りを楽しんでいた人々が広場から逃げ始めた。


next.

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