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音楽なんて聴きながら受験勉強なんてできると思ってんのかお前は!もう切りなさい!




「コラぁぁぁぁぁぁ!!クソジジイぃぃぃ!!平賀、テメッ出て来いコノヤロォォォォォ!!てめーはどれだけ近所の皆様に迷惑かけてるかわかってんのかァァ!!」
「昼夜問わずガシャコンガシャコン!ガシャコン戦士かてめーはコノヤロー!!」
「ウチの息子なんてなァ、騒音で気ィ散っちゃって受験おちちゃったぞ。どーしてくれんだオイ!!」
「江戸一番の発明家だかなんだかしらねーが、ガラクタばっかつくりやがって。私らかぶき町町内会一同も我慢の限界だ。今日こそ決着つけてやる。オイヤローども、やっちまいな!!」


お、およびか。新八と神楽はステレオ、銀ちゃんはラジカセ、私はマイクを片手に登場。


「一番、新宿から来ました、志村新八です。よろしくお願いします」


カラオケの準備をした私らは新八から離れて耳に指をいれて耳栓をする。が、周りの奴らは不思議そうに見ている。そんな中新八は口を開け大きく息を吸った。


「お前ェそれでも人間かァ!!お前の母ちゃん何人だァァ!!」


耳栓していても聞こえてくる大声量だけど…うわースゴイ音痴。耳栓してなかった奴ら悶絶しちゃってるよ。すると騒音の中お登勢さんが私らに近づいてきた。


「おいィィィィ!!ちょーちょーちょーストップストップストップ。オイ止めろコラ。てめっ何してんだコラ。私は騒音止めてくれって言ったんだよ!なんだコレ?増してるじゃねーか。二つの騒音がハーモニー奏でてるじゃねーか!」
「いじめっこ黙らすには同じよーにいじめんのが一番だ」
『拳には拳を、騒音には騒音だよ』
「殴られたこともない奴は、人の痛みなんてわかりゃしねーんだよ」
「わかってねーのはお前らだァ!こっちゃ鼓膜破れそーなんだよ!!」
「何言ってんだバーさん。一番痛いのは新八だ。公衆の面前で音痴晒してんだから」
「なんか気持ちよさそーだけど!!」
『音痴な奴は自分では気づかないモンだよ』
「新八ィ、次私に歌わせてヨ。北島五郎の新曲手に入れたネ」


神楽を無視して歌い続ける音痴。終いには取り合いになっていた。


「あ〜あ、何やってんだあいつらしょーがねーな。オイぃぃぃ!!次歌うのは俺だぞォ!!」
『ちがう私だァァァ!!』
「おめーら一体何しに来てんだァ!!もういい、てめーらの歌きくぐらいなら自分で歌う!貸せ!」
「てめーの歌なんてききたくねーんだよ、腐れババア黙ってろ!」
「なんだとォォ!!じゃあデュエットでどうだコノヤロォォ!!」


マイクをみんなして取り合っていると、今まで開かなかったシャッターが開いた。しかし中から出てきたのはデッカいカラクリ。


「…え?え?…これが平賀サン?」


人だと思っていた私らの前に現れたカラクリに狼狽えていると、そのカラクリは銀ちゃんの頭を鷲掴み軽々と持ち上げた


「いだだだだ頭とれる!頭とれるって平賀サン!」
『止めろォォォ平賀サン!!』
「たわけ、平賀は俺だ」


あーわーと騒いでいると、今度はジジイが出てきた。あ、あっちが平賀サン?


「人んちの前でギャーギャー騒ぎやがってクソガキども。少しは近所迷惑も考えんかァァァァァ!!」
「そりゃテメーだクソジジイ!!てめーの奏でる騒音のおかげで近所の奴はみんなガシャコンノイローゼなんだよ!!」


私らは銀ちゃんをどーにか助けようと頑張る。もうこれは無理なんじゃないかな。


「オイ三郎!!かまうこたァねェ、力ずくで追い出せ!」
《御意》


三郎と呼ばれたカラクリはジーさんに銀ちゃんを投げつける構えをとった。


「ん?アレ?オイちょっ…」


三郎は狼狽えるジーさんに構うことなく銀ちゃんを投げつけた。


『しめた!ジーさんを縄で縛れ!』
「はいヨ〜」
『いやー始めから銀ちゃんはこーなることを予想してたのか〜』
「いや、絶対違いますよ」


とりあえず中へと入る。


「うわ〜カラクリの山だ」


源外庵と看板があった工場内には、たくさんの三郎のようなカラクリがあった。


『これ全部ジーさんがつくったわけ?』
「てめーら何勝手に引っ越しの準備進めてんだァ!ちきしょォォ!!縄ほどけェェ脱糞するぞコノヤロォォ!!」
「オイ茶頼むわ」
《御意》
「三郎ォォ!!てめェ何こきつかわれてんだァ!!助けんかい!!」


お茶を用意した三郎は銀ちゃんにポンコツ君と言われ頭にあっつーいお茶をかけた。なんでも三郎は、ある程度の言語は理解できるらしい。その証拠にジーさんが解放しろポンコツと言うと殴っていた。


「……お登勢サン、あの人ホントに江戸一番の発明家なんですか?」
「あん?なんかそーらしいよ。昔っから好き勝手ワケのわからんモンつくってるだけなんだけどね。私らにゃただのガラクタにしか見えないね〜」
「ガラクタなんかじゃねェ。ものを創るってのは自分(テメー)の魂を現世に具現化するようなもんよ。こいつらは、みんな俺の大事な息子よ」
「息子さん、あっちで不良にからまれてるよ」
「びゅ〜ん」
「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


銀ちゃんが指差した先では、神楽が三郎を持ち上げて遊んでいた。


「ロケットパンチ発射アル!!」
「止めてェェ!!そんな機能ないから!腕もいでるだけだから!」





ーーーーガシャン.


『これでヨシと』
「ここなら幾ら騒いでも大丈夫だろ。好きなだけやりな」


カラクリ創りは止めないと言うから、私らはだったら騒いでも大丈夫な川原へと引っ越しさせた。


「好きなだけってお前…みんなバラバラなんですけど…なんてことしてくれんだテメーら」
「大丈夫だヨ。サブは無事アル」
《御意》
「御意じゃねーよ!!なんか形違うぞ!!腕ねーじゃん!腕!!」
『神楽、アンタ腕どこやったの?』
「あ゛あ゛あ゛どーすんだ!これじゃ祭りに間に合わねーよ!!」
「「『祭り?』」」
「三日後に鎖国解禁二十周年の祭典がターミナルで行われんだよ。それに珍しく将軍様も出るらしくてよォ。そこで俺のカラクリ芸を披露するよう幕府から命がくだってたんだよ」


どーやら、ホントに天才発明家のようだ。そんなスゴいことするみたいだから。


「どーすんだ。間に合わなかったら切腹モンだぞ」


え、切腹!?


「あ、ヤベ。カレー煮こんでたの忘れてた」
「オイぃぃぃぃ!!三郎の腕返せェェェ!!」


なぜか神楽は三郎の腕を気に入ったのか持って帰り、私らは川原を後にした。てゆーか逃げ出した。


next.

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