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ジジイになってもあだ名で呼びあえる友達を作れ




「俺が以前から買いだめしておいた大量のチョコが姿を消した。食べた奴は正直に手ェ挙げろ。今なら四分の三殺しで許してやる」


のどかな昼…まァつまりは仕事がないんだけど、そんな日に銀ちゃんがチンピラのような顔で言ってきた。


『四分の三ってほとんど死んでんじゃん』
「っていうかアンタ、いい加減にしないとホント糖尿になりますよ」
「またも狙われた大使館。連続爆破テロ凶行続く…」


向かいのソファーに座ってワザとらしく新聞を音読する神楽を見れば、鼻から真っ赤な液体が流れ落ちていた。


「物騒な世の中アルな〜。私恐いヨ、パピーマミー」
「恐いのはオメーだよ。幸せそーに鼻血たらしやがって。うまかったか俺のチョコは?」


ガッと神楽の頬をわしづかみする銀ちゃん。


「チョコ食べて鼻血なんてそんなベタな〜」
「とぼけんなァァ!!鼻血から糖分の匂いがプンプンすんぞ!!」
「バカ言うな。ちょっと鼻クソ深追いしただけヨ」
「年頃の娘がそんなに深追いするわけねーだろ。定年間際の刑事がお前は!!」
『例えがわかんねーよ!!』
「っていうかおちつけ!!」


――――ドカン


「「「『!?』」」」


間近で聞こえた衝突音に外へと出る。


「なんだなんだオイ」
『事故…?』


下を見れば、スクーターと人が倒れていた。


「くらあああああ!!」
「「「『!』」」」


お登勢さん!?


「ワレェェェェェェ!!人の店に何してくれとんじゃァァ!!死ぬ覚悟できてんだろーな!!」


アララ。ドンマイお登勢さん。


「ス…スンマセン。昨日からあんまり寝てなかったもんで」
「よっしゃ!!今永遠に眠らしたらァァ!!」
「お登勢さん怪我人相手にそんな!!」


下りてくれば今にも殺しかねないお登勢さんを新八がとめた。


「…こりゃひどいや。神楽ちゃん救急車呼んで」
「救急車ャャアア!!」
「誰がそんな原始的な呼び方しろっつったよ」


空に向かって叫んだ神楽は一体どこで育ったんだよ。現代っ子が原始的方法を活用すんな。


『アンタ飛脚?届け物エラいことになってるけど』


辺りには手紙が散らばってしまっていた。


「こ…これ…」


ん?


「これを…俺の代わりに、届けてください……お願い」


そう言って差し出してきたのは小包み。


「なんか大事な届け物らしくて。届け損なったら俺…クビになっちゃうかも」


いや、んなこと言われても…。


「お願いしまっ…」


――――ガクッ


「おいっ!!」


そこで力尽きた飛脚の兄ちゃんは気を失ってしまった。あとに残された小包みに、私ら四人は顔を見合わせた。





「ここであってんだよな」
「『うん』」
「大使館…これ戌威星の大使館ですよ」


結局私らは届けに来た。まあ、ほっとくのも可哀想だし。


「戌威族っていったら、地球に最初に来た天人ですよね」
「ああ。江戸城に大砲ブチ込んで無理矢理開国しちまったおっかねー奴らだよ」
『嫌なとこ来ちゃったな〜』
「オイ」
「「「『?』」」」
「こんな所で何やってんだてめーら。食われてーのか、ああ?」


……犬だ。


「いや…僕ら届け物頼まれただけで」


あーあ、新八もうビビってるよ。


「オラ、神楽早く渡…」
「チッチッチッ。おいでワンちゃん酢昆布あげるヨ」


――――スパンッ


『何やってんの神楽』


犬に向かって言っていた神楽を銀ちゃんはひっぱたいた。そりゃな。


「届け物がくるなんて話きいてねーな。最近は、ただでさえ爆弾テロ警戒して厳戒態勢なんだ。帰れ」
「ドッグフードかもしんねーぞ」
『そうだよもらっときな』
「そんなもん食うか」


――――パシ

犬が銀ちゃんが渡した小包みをはじいた拍子に門の向こう…つまりは中へと入れてしまった。

――――トンッ.
――――ドカァァン!!

地へと荷物が着地した途端爆発。瓦礫やらなんやらが飛んでくる中私らはその様子をジッと見ていた。隣の犬は顎が外れるんじゃないかと大口を開けている。


『…なんかよくわかんないけどさァ』
「するべきことはよくわかるよ」


私らは回れ右。


「『逃げろォォ!!』」


まさに脱兎のごとく。なんなんだよもーよォ!?


「待てェェェテロリストォォ!!」


――――ガッ.


「!!」


――――ガッ.


「!!」


――――ガッ.


『!!』


――――ガッ.


「!!」


今の状況。犬→新八→銀ちゃん→私→神楽で、手をつかみ合ってる。…待て待て待てェェェ!!


「新八ィィィィ!!てめっ、どーゆーつもりだ離しやがれ!!」
「嫌だ!!一人で捕まるのは!!」
『そーゆー銀ちゃんこそ離せェェェ!!』
「なんで俺が捕まってお前が捕まらねェんだよ!!そんな不合理俺が許さねェ!!」
『不合理とか小難しい言葉使うな私が頭使う!!俺のことは構わず行け…とか言えないの!?』
「私に構わず逝って三人とも!!」
「『ふざけんなお前も道連れだ!!』」
「ぬわぁぁぁぁ!!ワン公一杯来たァァ!!」


げぇぇ!!なんなんだ今日は厄日か!?

私らは慌てて自分だけでも助かろうともがくが、それに比例して握られている手にも力が入る。ちょっ、え、えェェェ!


「げう゛!!」


しゃらん。という錫杖の音と共に犬を踏みつけ現れた笠をかぶった坊主。


「逃げるぞ銀時、架珠」


あれ…その顔は…。


「おまっ…ヅラ小太郎か!?」
『ヅラぁ!』
「ヅラじゃない桂だァァ!!」
「ぶふォ!!」
『あ゛だァ!!』


いきなりなにすんだコイツ!!


「てっ…てめっ、久しぶりに会ったのにアッパーカットはないんじゃないの!?」
「そのニックネームで呼ぶのは止めろと何度も言ったはずだ!!」
『カツラもヅラも一緒だろ!!』
「俺は桂だ!カツラじゃない!」
「つーか、お前なんでこんな所に…」


問い質す間も無くまたも戌どもが集まってきた。


「話は後だ銀時。行くぞ!!」
「チッ」


今は逃げるのが先決であり、仕方なくヅラの後を追って辿り着いた先はHOTEL IKEDAYA。

部屋に隠れてテレビをつけて見ると、さっきの大使館の出来事が放映されていた。そこにはバッチリと私らの姿も。


「バッチリ映っちゃってますよ。どーしよ、姉上に殺される」
「テレビ出演、実家に電話しなきゃ」


神楽のんきだね。そして新八の不安は私らの不安でもある。どーしよ、お妙に殺される。


「桂さんに会えてよかったですよ。この状態の僕らかくまってくれるなんて…。銀さん達の知り合いなんですよね?一体どーゆー人なんですか?」
「『んーテロリスト』」
「はィ!?」


あ、顔ひきつった。


「そんな言い方は止せ」


襖を開きヅラが現れたと思うと後ろに男達が。ヅラの仲間?


「この国を汚す害虫天人≠討ち払い、もう一度侍の国を立て直す。我々が行うは国を護るがための攘夷だ。卑劣なテロなどと一緒にするな」
「攘夷志士だって!?」
「なんじゃそらヨ」


神楽バリボリせんべい煩い。しかし美味しそうなので私も一枚。


「攘夷とは二十年前の天人襲来の時に起きた外来人を排そうとする思想で、高圧的に開国を迫ってきた天人に危機感を感じた侍は、彼らを江戸から追い払おうと一斉蜂起して戦ったんだ」


こちらに来たばかりの神楽に新八が説明する。


「でも天人の強大な力を見て弱腰になっていた幕府は、侍達を置き去りに勝手に天人と不平等な条約を締結。幕府の中枢を握った天人は侍達から刀を奪い彼等を無力化したんだ。その後、主だった攘夷志士は大量粛清されたってきいたけど…まだ残ってたなんて」
「…どうやら俺達ァ踊らされたらしいな」
「?」


立ち上がった銀ちゃんの視線の先。


「なァオイ、飛脚の兄ちゃんよ」
「あっ、ほんとネ!!あのゲジゲジ眉デジャヴ」
「ちょっ…どーゆー事ッスかゲジゲジさん!!」
『てめーゲジ!!私ら騙しやがったなァ!?』


私はゲジ眉の兄ちゃんの胸ぐらをつかみ前後に揺さぶる。


「全部てめーの仕業か、桂。最近世を騒がすテロも。今回のことも」


否定も肯定もせず、ヅラは腰にあった刀を銀ちゃんへと差し出した。


「たとえ汚い手を使おうとも、手に入れたいものがあったのさ」


はァ?


「銀時、架珠。この腐った国を立て直すため、再び俺と剣をとらんか。白夜叉、血染めの舞姫と恐れられたお前たちの力、再びかしてくれ」


next.

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