暑さのたまもの


暑い

暑すぎる

何だこの猛暑は


私は手に持った下敷きで顔に風をあおった

ぱたぱたぱた

何故か後ろからも風がふいてくる

いや、自然な風じゃなくて、こう、もっと人工的なぬるい風が

ふと後ろを振り返る


「うわあああああ」

「なんや、そんな声だしよって」


今吉がうつ伏せに寝っ転がりながら、扇子で仰いでいた

私を


「どや?涼しいんとちゃう?」

「いえ、っまあ涼しいですけど」


と、私は驚いた時の冷や汗をTシャツで拭う

今吉が自分の顔を見上げる

そして目を見開いた


「うわっ、怖いわ、なんだよ」

「自分.....顔赤すぎちゃう?息も荒いし...はっ!もしかして他の男と....」

「あほなの?ねえ、アホなんだよね?暑さにでもやられたのかな?うん?」


まずずっと後ろにいたと思われるお前が一番わかってんだろ、あほう

と、心の中でつっこんでおいた

はははといつもではしない笑い方をしてから急にいつもの顔に戻って


「でも自分、ほんと汗、かきすぎちゃうんか?顔も赤いし」


と、今吉は自分の持っていたスポーツドリンクを私の首元に当てた


「つめたっ!」

「やるわ、新品だから安心せい?」


と水場で濡れたタオルを作りおでこにのせる


「自分、熱中症なりかけちゃうんか?おまえの方がアホや」


このアーホ

そういい彼はまた寝っ転がり、私を仰ぎ始めた


暑さましたわ、この野郎

2014.6.2.19:14.曖霧

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