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ポーン、ポーン…
一定のリズムが人気のない公園に響き渡る。
現在の時間は午前6時。
人がいないのにもうなずける時間だ。
だが、早朝に一定のリズムと言うのも少しホラーじみていると思う。
なんて。普段思わないようなことを思いながらも一定のリズムを保ち続ける。
「…ふぅ」
ずっと一定のリズムで続けていたリフティングを止めて近くに置いてあったタオルを取る。
「……はずだったんですけど誰ですか?」
「…あぁ、わしは円堂大介と言ってな…知らんか?」
円堂、大介……頭をフル回転させる。
あぁ……確か…なんだっけ?
「すみません…あったことありますか?」
そう言うと、そうか…だとかうむ…だとか言って手を顎にあて考えるポーズを取る円堂さん。
あ、なんかいけないこと言っちゃったかな。
親戚とかだったらどうしよう…。
「いや、わしは君と一度も会っとらんぞ。親戚でもない」
「おまわりさーん…」
親戚でもなく、会ったこともないのに話しかけてくるなんてよっぽどの変人か暇人かロリコンくらいだ。
ってかこのじじい心読みやがったな。
読心術でもできるのか?
「全部声に出てるぞ」
「あ、やべ…」
どうやら声が出ていたらしく慌てて口元を抑える。
そういえば汗を拭こうと思っていたので汗臭い。
タオルで拭いたって汗の臭いが落ちるわけでもないけれど。
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