邂逅
「……っ……?!」
〈わー、ホントだ。マイラにそっくりー〉
わんわんと頭の中に響くような声に、肩で息をしながら雛香はなんとか首を動かした。
ただでさえ暗い視界が霞み、滲む。
だが。
「……っ、な、だれ……」
〈はじめまして、だねー。デーチモ〉
かろうじて見えた視界に、ぼんやりと白く発光する、その姿は。
「……雛乃……じゃ、ない……?」
〈あは、そだよー。僕は君の弟じゃなくてー……〉
ひらり、黒い空を切る、さらに深い黒のローブ。
〈大好きな大好きなマイラの弟……でっ?!〉
〈おとなしくしろ、レイラ……〉
なんとか膝をつき体を起こす雛香の前、頭を抱えるのは、雛乃……によく似た白い青年、
そして、その青年を音も無く殴った、もう1つの白い影。
〈……はじめまして、では確かにあるな〉
揺れる銀髪、白い眼帯、はためくローブ。
何もかも見透かすような、まっすぐな黒の瞳。
〈ヴィーラファミリー10代目ボス……宮野雛香〉
その姿はありえないほどに、自分に酷似していた。