君を咬み殺す3 | ナノ




邂逅
「……っ……?!」
〈わー、ホントだ。マイラにそっくりー〉

 わんわんと頭の中に響くような声に、肩で息をしながら雛香はなんとか首を動かした。
 ただでさえ暗い視界が霞み、滲む。

 だが。

「……っ、な、だれ……」
〈はじめまして、だねー。デーチモ〉

 かろうじて見えた視界に、ぼんやりと白く発光する、その姿は。

「……雛乃……じゃ、ない……?」
〈あは、そだよー。僕は君の弟じゃなくてー……〉

 ひらり、黒い空を切る、さらに深い黒のローブ。

〈大好きな大好きなマイラの弟……でっ?!〉
〈おとなしくしろ、レイラ……〉

 なんとか膝をつき体を起こす雛香の前、頭を抱えるのは、雛乃……によく似た白い青年、
 そして、その青年を音も無く殴った、もう1つの白い影。

〈……はじめまして、では確かにあるな〉

 揺れる銀髪、白い眼帯、はためくローブ。
 何もかも見透かすような、まっすぐな黒の瞳。


〈ヴィーラファミリー10代目ボス……宮野雛香〉


 その姿はありえないほどに、自分に酷似していた。





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