破滅への集束
ツナ達が再び京子を探して駆け出した、
その一方で。
***
「俺はγってんだ……よろしくな」
獄寺達の前に現れたのは、妖しく笑む、黒い隊員服の男。
(こいつが……!)
(激強っていう……)
事前にラル・ミルチと雛乃から話を聞いていた2人は、険しい表情で相手を見上げる。
「獄寺、ここは手ぇ組んだ方が……」
「っるせぇ」
「!」
口を開いた山本に、己の右腕――つまり、嵌められた匣兵器を向ける獄寺。
「組む気はねぇって言ってんだろ。すっこんでろ」
「……そうかよ!」
「……おいおい、仲間割れか?」
桁違いの雷をまとわせるγの前、進み出る獄寺とは逆に、背を向け離れる山本。
未知の敵を前に、2人は完全に分断した。
そして。
***
「……何の音だ、今の」
振り返った少年は、すっと目を細め空を仰ぐ。
たなびく白い煙が上がるのは、そう遠い位置ではない。
「……嫌な予感がする」
胸を騒がすこの感覚に、今までいくどもの危機を教えられてきた。
「……急ぐか」
黒い瞳を光らせ、宮野雛香は走り出す。
γと激しい闘いを繰り広げる、獄寺達のもとへ。