君を咬み殺す3 | ナノ




悔恨はもう戻らない痕
 ボンゴレ側の人間を、1人残らず殲滅すること。

 つまり、それは。

「6人の守護者を集めろ、ツナ。歴代のボスもそうしてきたんだ」
「だ、だけど、たった7人集まったところで……」
「逆だぞ。奴らと勝負できんのはお前達しかいねーんだ。この時代の戦い方は特殊だが……」

 次々と告げられる衝撃的な言葉の数々に、ツナの顔が混乱と焦りに満ちる。

「……何言ってるかわかんないよ……!それより、俺たちの知人も危ないってどういうことだよ!母さんや京子ちゃん達はどうなるんだよ?!」
「手は打ってある」

 今にも泣き出しそうになるツナに、山本が痛ましい表情で前へ出た。

「俺がラル・ミルチを迎えに行くのと同時に、イーピンとランボが笹川とハルを迎えに行ったんだ」
「……!そっか、イーピン達、こっちじゃチビじゃないんだ!」
「ビアンキとフゥ太は情報収集……他の仲間、だが……」
「消されたよ」

 言い淀んだ山本に、雛乃がずい、と歩み出た。

「!!け、された、って……!」
「山本の親父もな……」
「……えっ……?!」
「そ……んな……」

 リボーンの言葉に、ツナと獄寺はただ呆然と山本を振り仰ぐことしかできない。
 だが目を伏せた山本は、さらなる衝撃的な事実を告げた。

「……それだけじゃない」
「……え、それだけじゃ、ないって……」

 まさか他にも誰かのお父さんが、と震えるツナ。
 山本は、一瞬雛乃に痛ましげな目をやり唇を噛んだ。

 雛乃は顔を上げない。
 視線を床に落としたまま、それ以上首が上がらなくなったかのようにうつむいたままで。



「……雛香も、死んだ」




「……え?」
「……は」



 山本の言葉に、
 空気が、真っ白に、染まる。



「……んな、でたらめっ!雛香が死んだなんて、んな、こと……!」
「本当だよ」

 静かな声に、獄寺ははっと振り返った。
 錆び付いたかのように動かない首をぎしぎしと回し、ツナも背後を見る。


「宮野雛香は、死んだ」


 恐ろしいほど何の感情も無い雛乃の顔が、

 次の瞬間、ぐしゃりと崩れた。



「……雛香は、僕を置いてったんだ……」





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