悔恨はもう戻らない痕
ボンゴレ側の人間を、1人残らず殲滅すること。
つまり、それは。
「6人の守護者を集めろ、ツナ。歴代のボスもそうしてきたんだ」
「だ、だけど、たった7人集まったところで……」
「逆だぞ。奴らと勝負できんのはお前達しかいねーんだ。この時代の戦い方は特殊だが……」
次々と告げられる衝撃的な言葉の数々に、ツナの顔が混乱と焦りに満ちる。
「……何言ってるかわかんないよ……!それより、俺たちの知人も危ないってどういうことだよ!母さんや京子ちゃん達はどうなるんだよ?!」
「手は打ってある」
今にも泣き出しそうになるツナに、山本が痛ましい表情で前へ出た。
「俺がラル・ミルチを迎えに行くのと同時に、イーピンとランボが笹川とハルを迎えに行ったんだ」
「……!そっか、イーピン達、こっちじゃチビじゃないんだ!」
「ビアンキとフゥ太は情報収集……他の仲間、だが……」
「消されたよ」
言い淀んだ山本に、雛乃がずい、と歩み出た。
「!!け、された、って……!」
「山本の親父もな……」
「……えっ……?!」
「そ……んな……」
リボーンの言葉に、ツナと獄寺はただ呆然と山本を振り仰ぐことしかできない。
だが目を伏せた山本は、さらなる衝撃的な事実を告げた。
「……それだけじゃない」
「……え、それだけじゃ、ないって……」
まさか他にも誰かのお父さんが、と震えるツナ。
山本は、一瞬雛乃に痛ましげな目をやり唇を噛んだ。
雛乃は顔を上げない。
視線を床に落としたまま、それ以上首が上がらなくなったかのようにうつむいたままで。
「……雛香も、死んだ」
「……え?」
「……は」
山本の言葉に、
空気が、真っ白に、染まる。
「……んな、でたらめっ!雛香が死んだなんて、んな、こと……!」
「本当だよ」
静かな声に、獄寺ははっと振り返った。
錆び付いたかのように動かない首をぎしぎしと回し、ツナも背後を見る。
「宮野雛香は、死んだ」
恐ろしいほど何の感情も無い雛乃の顔が、
次の瞬間、ぐしゃりと崩れた。
「……雛香は、僕を置いてったんだ……」