君を咬み殺す3 | ナノ




開匣の時
「「「「!!」」」」

 突如吹き出した藍色の霧に、トレーニングルームにいた全員が驚愕する。
 立ち込める暗色の煙、そしてその真ん中から――。

「!雛香っ?!」
「雲雀、」

 不意に飛び出した黒い影が、
 佇む雲雀へと真っ直ぐにその腕を振り下ろす。


「――俺の勝ちだ!」


 宣言とともに振り下ろされる刃、
 驚きに声をあげた雛乃と息を呑むツナ達、
 それら全てに無表情のまま、雲雀は微塵も動きを見せず――。



 ビュッ、という空を切る音とともに、

「残念だったね、宮野雛香」
 あっさりトンファーで攻撃を受け止めた雲雀は、つまらなさそうに吐き捨てた。

「その程度じゃ、僕は……」

 言いかけ――雲雀の表情が、凍りつく。

「……これ、は」

「え、」「へ?」
 雛乃がハッと首を回す。
 つられるようにして振り返ったツナ達の先、

 雲雀の背後に現れる、見慣れた黒い影。



「……残念だったな、雲雀恭弥。そっちは幻覚」

 吹き上がる、橙色の炎。

「今度こそ、俺の勝ちだ」

 カチリ、と嵌められるリング、そして。


「――開匣!」



 瞬間、咆哮が響き渡った。





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