空色の瞳の君 06 ミナトが夕日を好きだと知った時から私は夕方が好きになった。今日はスーパーのタイムセールもないし、久しぶりに学校で宿題を終わらせるため放課後学校に残った。静かな教室は少し不気味だけど静かな分宿題も捗る。 「よし、終わった…」 ぱたんと数学の教科書を閉じて机の中にしまう。今日の荷物は軽くなるだろう。 「…うずまきさん、」 「あ、貴女は」 生徒総会の終わりにミナトとしゃべっていたときの女の子。彼女は教室の後ろのドアから遠慮がちに私を呼ぶ。 「どうしたの、と……すみません。先輩ですよね?」 リボンを見て思い出した。彼女はおそらく自分の先輩。しかし、先輩がしかも接点のない私に何の用だろうか? 「別に構わないわ……うずまきさん私に着いてほしいの」 「ええ。あ、戸締まりしてからでいいですか?」 最後に帰る者の責任である戸締まりを先輩に断り、窓を締めていく。 「後ろのドア締めますよ?」 「あ、ごめんなさい…」 「いえ、」 なんだろう…おっとりしてるだけかと思ってたけど、それだけじゃない。……怯えてる? 「先輩、鍵を職員室に戻してくるんでここで待ってて下さい」 「うん、急がしちゃったみたいで…ごめんなさい」 "ごめんなさい"……その言葉が妙に私の後ろ髪を引っ張る。兎に角、私は職員室に小走りで向かった。 (20101221) |