あの子はダレ? 03 (…ありがとう) ようやく気づいた。彼女は私をずっと護ってくれていた。多分、私からミナトを離すことも彼女が私を"護る"うちに入っていたんだろう。だから、 (あなたの名前は?) 《名前はもう…忘れたわ。私は聞いたから…》 (…何を?) 《世界は違うけど…クシナとあの男、波風ミナトが共に生きると……2人とも……クシナは死ぬ》 (死ぬ?) 《私はクシナに死んで欲しくない!身の無い私だけど……クシナの傍にいると落ち着けるから》 (ありがとうね。…それでも私は、ミナトと共に生きたいの。まだ私たち高校生だし先のことなんてわかんないけど……) 高校生の恋なんて大半が"ごっこ"のようなもの。長い人生を共に生きていくパートナーを高校時代で見つけ出すのは不可能に近い。それほど、高校生の私たちは無知な子どもなんだ。 《そう…クシナならそう言うかもって思ってたけど、ごめん…なさい。何も出来なくて》 "さいご"じゃなくて"ごめんなさい"だったんだ。名前も忘れてしまうような永い時をさまよい、私を護ってくれてた。十分、十分だよ。 (ありがとう。今まで。……気づいてあげれなくてごめんね。もう、迷わないから。あなたも、) 《…うん。ばいばい》 頬を流れた涙。微笑んで逝った彼女。 ばあちゃんの言っていた私の順番はあと、もう少し。 (20110227) [前へ] | [次へ] |