空色の瞳の君 01



名も声も顔も知らない私のお父さん、お母さん。私は今幸せです。だって、空は相変わらず青くていつでも彼が傍にいるようで。片想いだけどさ……初めて人を想ってそれだけで私は幸せ。



「おはよう、クシナ」

「お、おはよってばね!……あ、」

「ハハ、本当にクシナは面白いね。さて、もうすぐ予鈴が鳴るね。急ごうか?」



あ゛ー!!!また、やってしまったってばね!私の想い人の名前は、波風ミナト。ミナトは、学校一の秀才で誰にでも優しい人。初めてミナトに会った日はなんて頼りなさそーな人なんだろうってかんじだった……けど、違った。



「ちょっと、まだ予鈴よ?なにも走らなくても、」

「ん?だってさ走って行った方が早く着くでしょ?」



ニコッと笑いながら私の手を引きながら学校までの道を走る私とミナト。正確には私はミナトに引っ張られているだけだけど。
正直少し恥ずかしい。流れていく景色に映る人たちは私たちを見ている。いや、ミナトを見ている。ミナト自身は知らないと思うけど、ミナトはモテる。容姿は太陽みたいな綺麗な金髪に空のような素敵な瞳。オマケに性格もいい。



「勝ち目、なんて……」

「なにか言った?」

「!、ううん」

「…そ?もうすぐ学校だよ」



あるはず無い。ライバルの多いミナトだから諦めるんじゃない。私は、誰かを好きになっちゃ駄目なの……それに、誰がこんな私を好きになってくれる?



「さ、着いたよ?」

「ハァ、朝から疲れたよ」

「ごめんね?…でも、クシナだけだよ、俺のスピードについて来てくれるの」

「っ、///」



ぽんぽんと「お疲れさま」と言いながら私の頭を髪を叩くように撫でるミナト。たぶん、私の顔は髪と同じで真っ赤になってる。



「クシナ…?もしかして、やっぱりしんどかった?ごめんね?保健室行く?」

「い、いい。教室行こ」



ミナトだけ。ミナトだけなんだよ。私の大っ嫌いなこの赤い髪に触れてくれる人は…ねぇ、期待しちゃうじゃん。


(20101219)
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