▼ 撮影

「あれ、龍お前もー帰んの?」

早くね?とスタジオで龍に声をかけたのはアキナだった。赤髪、ピアス、そしてロシアとのハーフ。有名ロックバンドのギターをやってる彼は龍の友人のひとりだ。
そしてもう1人。

「阿呆かお前、こいつには愛しのあずちゃんがお家で健気に待っとんねんからはよ帰りとうてしゃーないに決まっとうやん」

疎いわ〜と大袈裟にため息をつくこの人物はマヤ。イケメンな顔立ちなのに芸が面白いと今人気上昇中のイチオシお笑い芸人だ。黒髪だけど決して地味ではない、一度も染めたことがないその髪は艶やかだ。

「撮影終わったんだし家に帰る以外なくね」

「は?ふつーのみいこーぜ!とかあってもいいんじゃね?」

「普通に家帰りて」

「もーええやん、もうすぐで1日終わるで。帰らしたりい」

「次時間あるときな。」

そう言い捨て、テキパキと身支度を済ませた龍はお疲れ様と一時。スタジオを出ていった。

「ちょう釣れねえやつ」

「淡白さが嘘みたいにあずちゃん一筋でもう愛やな」

「だよな、デレんの?」

「そんなん知らんわー、でもでれとるやろあの感じ」

「想像できねー」

「ま、オンナ遊びを繰り返してるワイらとは次元違うんちゃう」

「…かもなぁ」

「本物の愛、ええなあ」


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