■ 1
出逢って数日
人の慣れというのは恐ろしいというかなんというか
たったの数日。
あたかもずっと昔から真啓が居たような感覚だ
「おい、愛澄。ピーマンを残すなって言ってんだろーが」
「だってピーマンって苦いし…」
「子供」
「子供ですけど」
なんて会話が日常化し始めた
時計が8:10を指す
「じゃあ、俺そろそろ学校行ってくるな」
「…うん」
この時間は嫌いだ
真啓が学校に行ったら
俺が暇になる
「ンな顔すんなって」
わしゃわしゃと髪を撫でられて
うるさい、と返す
「ホント、素直じゃねえな」
そのまま前髪を掻き上げられて額にキスをされる
「なっ」
「んじゃ、いってきます」
いきなりの不意打ちで俺の意識が戻ったのはドアのバタンと閉まった頃だった。
「………ばーか」
人と接するのはやっぱり怖いけど
真啓が学校に居るなら
行っていいかなって少しは考えてたりして
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