▼ こしふぇち!12*温泉編

「ん"ー…!」


をいをいをーい。ちょっとまてネ
むとうあずさクンよく冷静に考えてみて

こりゃいかん。舌はだめよ
なんてったって男同士
キャー!!禁断?禁断?…じゃねぇから

渾身の力を振り絞り、りゅーくんに抵抗シマシタ

ちょーっと、いや結構不機嫌そうな顔をされた
もういいって。ちょっとぬるい水はもういいって

「…ハァ んだよ」

「んだよ じゃないわ」

「はぁ?おまえファーストじゃあるまいし、そんなむきになるなよ」

「……………」

「童貞なのは知ってるけどキスは流石に経験、」

「……俺ファーストだった」

遮るように小声で言ったけど、悲しすぎかよ。

社会人になって同僚と居酒屋に行ってファーストキスねたが出た瞬間泣くわ俺。
男ですって素直に言ってみろ。「え?」って言われて距離置かれるわまじ。…しかもデープキフ

さっきまでの俺、もうちっと適切な判断を取るべきだったな。
覆水盆にかえらず感が俺を襲ふ

いや、ちょっとまて。りゅーくんとのキスが嫌じゃなかったことも事実………アレ俺ついに中西くんの言う未知の領域の扉開けちゃった感じ?いやいやまだノックしてる感じでとどめておきたい。もうやーね、叫びたい


いと悲しきことですのう


抱きしめられてる(と言うよりは介抱)俺からはりゅーくんの顔がバッチリみえるんだけどさ、なにこれ?
なんか不思議な光景がみえるのだよ。


「……ってなんでりゅーくん」

「うるせえ」

ちょ、ちょ、ちょ、レアだ
顔が赤いぞ、なにゆえ
…なんだい彼。そういった魔法にかかったの?
どういった魔法だよ!っていう自問をしていて…じゃなくて真面目に。


「なんで顔が赤いの」

「…お前まじ黙れ」

「う、ひど」

「じゃあ梓のファースト… 俺じゃん」

「…そんな当たり前なこと言わないでヨ。今さっきしたでしょ!?」

「…………あーはいはい、ワカリマシタ」

「なんかうざいぞりゅーくん」

「…もう大丈夫だろ。早く寝ろ」


***



「あー萌える萌える萌える。お前ら可愛すぎかよ。マジくっつけよ。なんだ梓、氷室が赤面してる理由もわからないのか…?まじ狙ってんのかよ、てか可愛い、もう拍手なんだけど。ホモゲーよりも萌えるわ、あああ有難う神様リアルBLを俺のもとに届けてくれて………ハァ幸せ。死んでもいい、写メらせて。…とりあえず早くくっつけ」

同室の腐男子

中西くんが復活して
襖(ふすま)越しに俺達を見てハァハァしてることは
誰も知らない。



なんて波瀾万丈な1日だったのだろうか。
そんな記憶が一番強い高校2年生秋の出来事であった。

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