2018/03/17 18:10

違和感があまりにもあった。

寝ているのに頭がぼうっとしていて、
そう。そもそも今私は 寝ているんだ という自覚があった。マーリンではないんだろうという確信は、あった。

ここはどこ?
いや、なんだ。
自分の、いつもの見慣れた部屋だ。


あっ、マシュだ。


「マシュ!」

呼べたかわからない。呼んだらマシュ、はこちらを向いてくれた。

あれ?マシュじゃない。
男の子だマシュマロがないやんけ。

綺麗な、マシュっぽい雰囲気の男の子は困ったように笑った。


「せんぱい」

無機質な言葉を紡ぎそうな声なのに優しく丁寧に発音されたその言葉は胸を締め付けた。

私はあなたのせんぱいだっただろうか?
それは傷つけてしまうようで言えなかった。

「マシュじゃないの?」

そのひとはまた困ったように笑った。
胸が苦しい。知らないはずなのに大好きな人だ。
大好きで大好きでたまらない。
それが溢れるのに私は知らない。

「泣かないでくれ、先輩」

「ごめん、ごめんね…きみを、」

君をこんなに好きなのにわからないなんて。
こんな夢の幻をみるくらいに好きなのに。

「先輩、リツカ。」

肩に置かれた後の手は抱き締めてくれることはなく、寂しいけれど。私の手を包んで握ってくれた。


「はなれたくない」

「オレも同じだ。」

「いってしまうの?いやだよお願いだから、」

「行く。でも側にいるから、ずっと側に、……先輩…」

ドラマのワンシーンみたいだ。
ドラマならまたきっと会える。
彼が、来てくれる。私も忘れることもなくきっとそれを覚えている。
きっとみんな幸せに、…、


「リツカ!」

「!」

「寝ているところ申し訳ない、だがマシュの容態が悪いどうか手を握って、側に。」

胸を焦がされる夢を見ている暇はない。
そんなものを思い出す暇なんてない。
思いを馳せる必要はない。

この地球とマシュと生きるこの世界を守ることだけ、考えなくちゃ。


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