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いよいよ先程試合が開始した。
そして、五分もせずに緑間が三回連続でゴールを入れた。
真横で一十木くんが笑う。
「すげー!」
私はそれに苦笑を零しながら誠凛という高校と正邦と高校の試合に目を向ける。
試合の点数は誠凛が六点で正邦が十九点でこれからが楽しみだ。
それに、正邦高校の方には見覚えのある男子までいる。
「あの楽しそうな笑顔……」
思い浮かぶのは帝光時代に戦った中学にいた相手。
名前は知らないけれど特徴的なのはあの坊主と笑顔だった。
すると、誰かがボールを外に出した。
白ボールと言ったということは恐らく出したのは正邦。
私は静かに坊主くんを見つめ続ける。
「あれ……?」
私は幻覚を見ているのだろうか。
坊主くんが誰かにぶつかったと思うとその場に黒子くんがいる。
真横の一十木くんが私の声に気付いたのか私の顔を覗いてきた。
「……桃井?」
「あ、いや……」
慌てた私は首を左右に振り、再び何食わぬ顔でコートを見つめた。
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