↑にある文ストの話の続き
アリスがいない。
俺の大切な大切なアリスがいない。
俺は静かな探偵社の中を一人でズカズカと歩き回りながらいなくなったありすを探す。
しかし、アリスは一向に見つかる気配はなく遂にアリスを探し始めて数日が経過した。
諭吉さんは勿論のこと鏡花や敦やクソ太宰や晶子さんや乱歩にもアリスを見ていないか聞いた。
けれども誰一人としてアリスを見た奴はいない。
それにこういうのも可笑しな話になるがアリスは今外に出ていないような気がする。
でも、そうなるとアリスは俺の中にいることになる。
だが俺の中にいるのは寂しくてくらいから嫌だとアリスは常々言っていたのにどうして今更?
俺は沸き上がる疑問に対して疑問符を頭に浮かべながら小さくアリスの名を呼んだ。
「アリス、アリス。起きろ」
だがアリスの返事は一切聞こえては来ない。
今までにこんなことは無かったはずだ。
その時に俺はふっととあることを思い出した。
「もしかして……」
自分でも今頭に浮かべたことが事実だとしたらもう二度と取り返しのつかないことになる。
俺は一度おおきく深呼吸をするとアリスがよく座っていた椅子の裏を見て目を見開いた。
「やっぱり……」
嘘であって欲しいと思った。
まさか俺があのクソ女の虜になっていたなんてそんなこと信じたくなかった。
けれど、俺があいつの虜になっていたとしてももう今はあのクソ女はこの社にも世界にもいない。
なら何故ずっと隠れている必要がある?
「……何かが引っかかる」
俺は椅子の下にセロハンテープで固定されてあった手紙を剥がすとその封を切った。