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3

庭の中をふらふらとしていると、突然なんの気配もなく目の前に現れたのはあまり出会いたくない人ナンバーワンのイルミ兄。

私は目の前でこちらを無表情で見つめる兄に微笑みを浮かべながら首を傾ける。

すると、突然イルミ兄はこちらに向かって何か白くて暖かいものを投げてきた。

私は慌ててそれをキャッチするとその白い塊が何なのか認識するなり目を見開いた。

「あの、イルミ兄さん。この子は一体……」

イルミ兄は困惑する私に背を向けると、右手だけ上げながらこう言った。

「リアに似てたから拾っちゃった。俺には必要ないからあげる」

私は腕の中にいる白い子猫の背中をひと撫ですると屋敷の玄関へと去っていく兄の後ろ姿を見つめ溜息を吐く。

そして、兄が見えなくなったところで私は子猫の両脇を持って自身と目が合う位置に持ち上げてこう言った。

「……お前も災難だね」

その瞬間、目の前の子猫の瞳がうっすらと開き私と同じ紫苑色の瞳が静かにこちらを見つめる。

それと同時に無意識のうちに私の口はこう動いた。

「キル、ア?」

「にゃお」

私が彼の名を呼ぶと共に返事をするかの如く目を細めて鳴いた目の前の子。

この日、私は自分が成り代わった位置に本来いるべき人物を見つけた。



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