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あれからHRも終わった所で10分の休み時間になった。
私は自分に話し掛けてくる子達からの質問に答えながら「仲良くしてね〜」と言って、笑顔で私の言葉に頷いて席へ戻って行くクラスメイト達に同じく笑顔を浮かべながら手を振る。
そして、ある程度みんなが席に戻った所で私は机の上で肘を付きながら隣にいたジャッカルにこう話し掛けた。
「このクラスいい子達ばっかりだね」
すると、ほんの少しだけ間を開けて彼は頷いた。
「……まあ、このクラスはな」
だがここでその彼の曖昧な返事に違和感を感じた私は何となく「このクラスはなって何さ」と問う。
そうすると彼はただ静かな声色でこう言った。
「去年の夏休みに会ったときに言っただろ。この学校にはテニス部レギュラーのファンクラブがあって、レギュラーの誰か一人とでも仲良くしたら制裁っていう名前のいじめがあるって」
「え、ごめんその話聞いてなかったわ。……ってか、ジャッカルってレギュラーだった筈だし君と仲良くしたら私いじめられるんじゃ?」
「俺となら大丈夫だろ。なっ、海野」
そう言って彼が声を掛けたのはジャッカルの目の前の席にいた、先程私に自己紹介をしてくれた一人でいるふわふわとした茶色の髪の毛をした海野花詠ちゃん。
彼女は迷うことなく彼の問い掛けに頷いた。
「大丈夫だよ〜。ジャッカルくんのファンには過激派な子はいないから!」
そして、彼女は私の方を向くなり「ていうか、花梨ちゃんってジャッカルくんと知り合いなの?」と一言。
私はチラリと横目でジャッカルに目を向けると、目の前の彼女の言葉に頷いた。
「まあ、一応は友達?」
「一応ってなんだ一応って」
「あははっ、ごめんごめん。取り敢えずあれだね、ジャッカルが私の幼馴染の従兄弟で昔からジャッカルが幼馴染の家に来るたびによく遊んでたの」
「ってことはジャッカルくんと幼馴染み?」
「あっ、そう言えばそうなるかも」
私は自身のこめかみを抑えるジャッカルに「ジャッカルも幼馴染みなんだね!」というとケラケラと笑う。
「花梨っちゃんってなんか変わってるね」
「よく言われまーす!」
私はクスクスと笑う花詠ちゃんに笑顔を向けると、私達の会話を聞いていたのかケラケラと笑い始めたクラスメイト達に「いえーい!」といいながらジャッカルの肩に腕を回してピースサインを彼らへ向けた。
この際にジャッカルが呆れたような表情をしてたけどいつもの事だしいいやと考えた私は悪くない。
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