■■QUARTET★NIGHTと仕事で秋田へ
現在、私とQUARTET★NIGHTの皆さんは何故か何故か知らないが社長の命令で秋田県の観光名所を回るテレビの撮影に駆り出されていた。
というか社長、何故作曲家の筈の私がテレビに出るんですか?
「うわ、見て見てこのアザラシ可愛いよ!!」
「ほんとうだ!」
「確かに可愛らしいですね」
「......チッ」
「ねっ、やよいちゃん!」
「......あっ、はい。可愛いですね」
社長には前に告げたことがあるのだが、仕事中の彼らはどうも気持ち悪い。
いや、別に嶺二さんと蘭丸さんは普段通りなのだがどうもいつまでたってもスイッチのオン状態の藍さんとカミュさんが慣れないのだ。
私は思わず引き攣る顔をどうにかカメラに映らないように工夫しながら歩き回る。
そして、続いてやって来た田沢湖周辺。
私はその場の空気を吸って大きく深呼吸をした。
「......いい空気だなー」
同時に周りから聞こえる笑い声たち。
その笑い声の犯人は撮影関係者の人だったりマネージャーさんたちだったりといった状態。
そして、私をよく知る皆さんといえば一人は爆笑で他の三人は何か言いたげにため息を吐いている。
いつも通りの反応にいつも通りの日常。
私が笑顔を浮かべた時、その人は現れた。
「 はっはっハ〜元気デスカー?!」
背中にジェット機を背負って飛んできたのは言わずもがな私達の社長であるシャイニング早乙女その人。
もう撮影関係者の人も唖然としてるし、何よりマネージャーさんに至っては明らかに頭を抱えている。
私は、先程まで浮かべていた笑顔のことを綺麗さっぱりと忘れて引き攣り始めた頬を無理やり動かして社長へ尋ねた。
「しゃ、社長。何の用ですか......?」
途端、サングラスを光らせてニヤリと笑う社長。
蘭丸さんたちが私の肩を掴んで後ろへ下がらせてくれた。
「で、オヤジなんだよ」
「何なにー?僕ちんにも教えて?」
「ボス、早く」
「聞かせてもらわねば困る」
あたふたしてるのは私だけですよね、分かります。
私は大人しく皆さんの後ろで音也くんやハルちゃんからのLINEの返信をしつつ皆さんの言葉にも耳を傾ける。
「これからMs.桃井には時々テレビに出てもらいマース!!」
「は!?」
私の素っ頓狂な声がその場に大いに響いた。
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